親の郵便物や支払い、離れていてどこまで手伝える?
実家に届く郵便物と、公共料金などの支払い。離れて暮らす家族ができること、できないことを、日本郵便や厚生労働省の案内をもとに、帰省前に決める順番で整理します。
目次
この記事の要点
- 郵便物の転送は、親が住む家には使えない
- まず親と一緒に、届くものを書き出す
- 払い込みは口座振替にまとめ、困ったら社協へ
「実家から、封筒が開けられないまま積まれている写真が送られてきた」「電気料金の払込用紙が、テーブルの下から出てきた」。離れて暮らしていると、親の郵便物や支払いの様子は見えにくくなります。この記事では、離れた家族が郵便物と支払いで何を手伝えて、何は親本人でないと進まないのかを整理します。
先に結論です。郵便物を家族の家へ転送する方法は、親が今の家に住んでいる間は使えません。 その代わりに、届くものを親と一緒に書き出し、払い込みは口座振替にまとめて、届く量を減らします。それでも手に余るなら、早めに相談窓口へつなぎます。
手伝いが必要になるサイン
郵便物や支払いは、ある日突然できなくなるのではなく、少しずつ崩れます。実家で次のような様子を見たら、手伝いを考え始める時期です。
- 郵便受けや玄関に、開封していない封筒が重なっている: 広告と一緒に、役所や銀行の通知が混じっていることがあります
- 払込用紙が期限を過ぎて出てくる: 督促状が届いて、初めて気づく親もいます
- 同じ内容の書類が何通も保管されている: どれが最新か、親自身が分からなくなっています
- 「届いていない」「払った」と言うが、確認が取れない: 責めずに、一緒に探す流れにします
こうした様子は、親が「ものぐさになった」のではなく、書類を読んで判断する手間が重くなっているサインかもしれません。叱るより、手間を減らす方向で話します。
転送は使えない
離れた家族がまず思いつくのは、親の郵便物を自分の家に転送してもらう方法です。ところが、日本郵便の案内「入院中の親族に代わり転送を受けたい」では、郵便物等を受け取る方がお住まいでない所に転居届を出すことはできない、とされています。親が今の家に住んでいる限り、家族の住所への転送はできません。
同じページには、入院中の人に代わる受け取り方は載っていません。つまり、転送という近道はなく、実家に届くものを前提に考えるのが出発点です。転送の代わりに使えるのが、次の「不在届」です。
不在届でできること
親が入院したり、長く家を空けたりするときは、郵便局に不在届を出す方法があります。日本郵便の案内「長期間不在とする場合の郵便物等の配達」によると、不在になる期間は最長30日で、その間に届いた郵便物は、保管期間の満了日の翌日にまとめて配達されます。
出すときは、自宅へ配達している郵便局か最寄りの郵便局で、本人確認書類を示します。受付後に、受付確認票が自宅へ届く決まりです。
注意したいのは、保管されるのが自宅宛てのすべてで、家族の一部や郵便物の種類を選べないことです。保管中に家の人が在宅していると分かれば、保管分は配達されます。
| 方法 | できること |
|---|---|
| 転居届 | 住む家が変わる人の転送 |
| 不在届 | 最長30日の留め置き |
| 家族への転送 | 親が住む家には使えない |
不在届は短い留守には向きますが、日々の支払いを支える仕組みではありません。毎月続く支払いは、次の章の方法で整えます。
届くものを書き出す
手伝いの第一歩は、何が、どこから、どのくらいの頻度で届くかを、親と一緒に書き出すことです。帰省したら、郵便受けの中身や、書類をしまっている引き出しを、一緒に見ながら仕分けします。
書き出すときは、種類ごとに分けると整理がつきます。
- 毎月届く請求: 電気、ガス、水道、電話、新聞など。支払い方法が口座振替か、払込用紙かを確かめます
- 年に何度か届く通知: 役所からの税や保険、年金の通知。期限があるものに印を付けます
- 金融機関や保険会社から届くもの: 通帳の記帳、取引の案内。親が使っていない口座が混じることもあります
- 荷物の受け取りや宅配: 食事の宅配など、頼んでいるサービスの案内。実家の食事の整え方は、実家の食事が心配。宅配弁当や買い物代行、どう選ぶ?にまとめています
書き出した一覧は、親と家族の双方が見られる形で残します。金額や暗証番号まで書く必要はありません。「どこから何が届き、どう払っているか」が分かれば十分です。
払い込みを自動にまとめる
毎月の支払いが払込用紙のままだと、開封と支払いの手間が毎回かかります。口座振替やクレジットカード払いにできる請求は、親が操作しなくても支払いが終わる形に切り替えると、見落としが減ります。
切り替えは、請求元の窓口や会員サイトで行います。ここで注意したいのは、事業者によって、本人確認の求め方が違うことです。支払い方法の変更は契約者本人の手続きを求められる場合があり、家族だけでは進められないことがあります。電話やオンラインの手続きなら、親が横にいる状態で進めるのが確実です。
-
請求元を選ぶ
毎月の請求のうち、払込用紙で払っているものを、先に一覧から選びます。
-
窓口に条件を聞く
「親の契約の支払い方法を、口座振替に変えたい」と伝え、必要な書類と、本人が同席すべきかを尋ねます。
-
親の口座で手続きする
引き落とす口座を親と決め、通帳や印鑑の置き場所を一緒に確かめます。口座の聞き方は、親の通帳や暗証番号、どう聞く?切り出し方が参考になります。
-
次の請求で確かめる
切り替えてから最初の請求が、振替になっているかを、電話や次の帰省で親と見て確認します。
口座の残高が足りなくなると、振替は止まります。引き落とし口座の残高を、年に数回は確かめる習慣も、一緒に決めておきましょう。
手に余るときの相談先
書類を整理しても、親自身が支払いの判断に自信をなくしているときは、手伝いの範囲を超えています。そのときは、早めに相談窓口へつなぐほうが、家族の負担も、親の不安も軽くなります。
地域包括支援センター
親が住む地域の、高齢者の総合相談窓口です。「書類の管理が心配になってきた」という入り口でも相談できます。どこに電話すればいいか分からないときは、親の介護、最初の相談先は?遠方の家族が電話する前にを先に読むと、聞くことを整理できます。
社会福祉協議会の自立支援事業
判断能力が少し心配な方を支える仕組みに、日常生活自立支援事業があります。厚生労働省の案内では、認知症高齢者などで判断能力が不十分な人が対象とされ、福祉サービスの利用援助に伴って、預金の出し入れなど日常的な金銭管理や、定期的な訪問による生活の変化の確認も行われます。実施主体は都道府県・指定都市の社会福祉協議会で、窓口業務は市町村の社会福祉協議会などが担います。
この事業を使うには、事業の契約内容を判断できる能力がある、と認められることも条件です。使えるかどうかは、親が住む市区町村の社会福祉協議会に、親の様子を伝えて相談します。
成年後見制度などは次の段階
親の判断能力がさらに低下したときの仕組みもあります。預金の引き出しとの関係は、認知症の親の預金、家族は引き出せる?に整理しています。今すぐ使うものではありませんが、全体の流れを知っておくと、相談のときに話が早くなります。
変化に気づく工夫
郵便物と支払いは、親の暮らしの変化が最初に表れる場所でもあります。ただ、帰省の回数は限られます。帰省の間にも、短い連絡で様子を知る手段を持っておくと、手伝いの時期を見誤りにくくなります。
BabuuTalkは、実家に置いたタブレットに毎日の声かけが届き、親が応えたかどうかが家族のLINEに通知される仕組みです。家族がLINEで書いた伝言は、タブレットの掲示板に大きく表示されます。「今月の電気の払込用紙、届いたら教えてね」といった一言を、画面で届けられます。
Android端末(タブレットや使っていないスマホ)があればアプリは無料で、続けて使うならタブレットが見やすいです。詳しくはトップページをご覧ください。
遠く離れた親との連絡の頻度に迷うときは、遠距離介護、親への連絡は週に何回がいい?も参考になります。
次の帰省までにすること
最後に、次の帰省までにできることを3つ挙げます。
- 親に電話で予告する。 「今度帰ったら、郵便物と支払いを一緒に見たい。困ったときに、私が慌てないように」と、目的を添えて伝えます
- 届くものを一覧にする。 帰省中に郵便受けと引き出しを見ながら、請求元、頻度、支払い方法を紙1枚に書き出します
- 払込用紙の請求を1つ選ぶ。 請求元に電話で、口座振替への変更に必要なものを聞き、メモします
全部を一度に整えようとしなくて構いません。まず「一緒に見てみよう」と伝えるところから始めてください。