実家の食事が心配。宅配弁当や買い物代行、どう選ぶ?

離れて暮らす親の食事が気になったときの手段を、自治体の配食、民間の宅配弁当、買い物の支援に分けて整理。選ぶ前の確認と、親に切り出す順番まで一次情報でまとめました。

公開 読了 約7分 執筆 株式会社BabuuTalk

居間の食卓で、高齢の母親が弁当の蓋を開け、家族が穏やかに見守っている
目次

この記事の要点

  • 先に困りごとを「買う・作る・食べる」で分ける
  • 自治体の配食は、安否確認つきの窓口が地域にある
  • 選ぶ前に、親と一緒に1つだけ試す形で決める

帰省したら冷蔵庫の中が空に近かった。電話で「ちゃんと食べてるよ」と言うのに、台所にはコンビニの袋が溜まっていた。離れて暮らす親の食事は、見えないぶん、一度気になり始めると頭から離れません。この記事では、宅配弁当、買い物代行、自治体の配食をどう選ぶかを、頼む前に確認することを中心に整理します。

結論から言うと、いきなりサービスを比べるより先に、親の困りごとが「買う」「作る」「食べる」のどこにあるかを分けるのが近道です。困りごとが分かれば、合う手段は絞れます。そのうえで、まず自治体の窓口に聞き、親と一緒に1つだけ試す順番をおすすめします。

夕方の台所で、高齢の母親が冷蔵庫の中を少し困った顔で見ている。調理台に鍋とレジ袋
帰省したときの台所は、食事の様子を知るいちばんの手がかりになります

困りごとを3つに分ける

「食事が心配」とひとことで言っても、中身は人によって違います。ここを取り違えると、せっかく頼んだお弁当が冷蔵庫に溜まる、ということが起こります。

買う・作る・食べる

  • 買う: 重い物を持てない、店が遠い、免許を返納して行けない、といった入り口の困りごと
  • 作る: 台所に立つのがおっくう、火の扱いが不安、一人分を作る気になれない、といった調理の困りごと
  • 食べる: 食欲が落ちた、噛みにくい、一人だと進まない、といった食べることそのものの困りごと

「買う」が困りごとなら、買い物の支援や宅配が合います。「作る」なら、お弁当や配食です。「食べる」の場合は、サービスを選ぶ前に、体調や口の中の様子を見てもらう必要があるかもしれません。気になる変化が続くなら、かかりつけ医にご相談ください。

親に聞く3つの質問

聞き方は、尋問にならないようにします。「最近、何を食べてる?」と聞くより、次のような聞き方のほうが答えやすくなります。

  • 昨日の晩ごはん: 何を、どこで買ったか、作ったかが自然に出てきます
  • 買い物の行き先: 誰と、何で行っているかが分かります
  • めんどうなこと: 「作るのと、買いに行くのと、どっちがおっくう?」と選ばせます
親の食事を整える順番を示す図解。困りごとを知る、公的な窓口を調べる、1つだけ試す、の3段階
サービスを選ぶ前に、この順番で進めると迷いにくくなります

まず自治体の配食を調べる

民間の宅配弁当を比べる前に、親が住む自治体に配食の事業がないか調べてみてください。厚生労働省は、地域の高齢者の健康を支える配食について、事業者向けの栄養管理に関するガイドラインと関連資料を公開しています。配食を使う人向けのパンフレットも載っています。

配食と安否確認の組み合わせ

自治体の配食は、食事を届けるだけでなく、見守りを兼ねていることがあります。たとえば富山市の「食」の自立支援事業では、委託事業者が食事を居宅に届けるときに利用者の安否を確認し、健康状態などに異常があれば、市や関係機関、緊急連絡先に連絡するしくみです。

対象は、おおむね65歳以上のひとり暮らしか高齢者のみの世帯で、食事の調理が難しい方とされています。ここで大切なのは、これは富山市の例であって、全国共通の条件ではないことです。対象も費用も、自治体によって違います。

申し込みは窓口を通す

富山市の例では、申請書類を窓口を通じて長寿福祉課に提出します。介護1以上の認定を受けている方はケアマネジャー、認定を受けていない方や要支援の方は地域包括支援センターが、最初の連絡先です。塩分やカロリーの制限食を希望するときは、医師の食事箋も必要とされています。

親の住所を担当する窓口の探し方は、親の介護、最初の相談先は?遠方の家族が電話する前にに書いています。電話では「実家の親の食事が心配で、配食の事業があれば教えてください」と伝えれば足ります。

実家の玄関先で、配達員の男性が高齢の女性にお弁当の包みを手渡している。奥に家族
手渡しで届くと、顔を合わせる機会がひとつ増えます

4つの手段の違い

手段は、大きく4つに分けて考えると整理しやすくなります。何を届けてくれるかと、誰が親の様子を見るかが違います。

自治体の配食

安否確認つきのことがある

向く困りごと
作る
最初の窓口
地域包括支援センター

民間の宅配弁当

地域や品目の選択肢が広い

向く困りごと
作る
最初の窓口
各事業者

買い物の宅配・代行

食材を選ぶ楽しみが残る

向く困りごと
買う
最初の窓口
店や自治体

家族が届ける

好みに合わせやすい

向く困りごと
作る・買う
続けやすさ
家族の負担次第

どれが正解というより、困りごとと続けやすさで組み合わせます

買い物の支援を探す

「買う」ことが難しい親には、お弁当より、買い物の手段を整えるほうが合うことがあります。農林水産省は、高齢化や単身世帯の増加で買い物に困る人が都市部でも増えているとして、食品アクセス(買物困難者等)問題のポータルサイトで取組方法や事例を公開しています。

自治体のガイドを探す

同じ農林水産省の買物支援の冊子等のページには、自治体が作った宅配のガイドが紹介されています。群馬県渋川市の宅配サービス店ガイド、千葉県船橋市の宅配ガイドマップ、奈良県奈良市のお買い物サービスMAPなどです。地域の店の配達や買い物代行を一覧にして、必要な人に届けるための冊子です。

親の市区町村にも同じような一覧がないか、窓口で聞いてみてください。近所のスーパーや生協が配達をしていることもあります。

見守りとしての使い方

配達や移動販売は、買い物の手間を減らすだけでなく、人が訪ねてくる機会にもなります。ただし、安否を確認するしくみがあるかどうかは、事業者や自治体によって違います。頼む前に「いつもと違う様子のときに、どこかに連絡してもらえるか」を確認しておくと、見守りとして頼れる範囲が分かります。

民間の宅配弁当は何を見る

民間の宅配弁当は、地域や商品の選択肢が広く、自分で選べる点が強みです。価格や口コミは変わりやすいので、ここでは確認する項目だけを挙げます。

料金の前に、親が使える形かどうかを見ます
確認すること 見る理由
配達地域 実家が対象か
受け取り方 手渡しか置き配か
温め方 親が使えるか
メニューの選択 好みと制限に合うか
解約のしやすさ 合わないとき困る

栄養は、使う人に合わせる

国のガイドラインは、配食を注文するときと、続けて使っているときに、利用者の状況を確認することを事業者に求めています。注文時には、利用者の身体の状況や栄養状態などを踏まえ、合う食事の種類を選べるよう支えることが望ましいとされています(出典:厚生労働省「配食事業の栄養管理に関するガイドライン」)。

あわせて、続けて利用する人には少なくとも年に1回から2回程度のフォローアップが望ましいとも書かれています。家族が代わりに注文する場合も、親の体調や好き嫌い、食べにくいものを、事前に伝えておくとよさそうです。厚生労働省のガイドライン本文(PDF)で確認できます。

配食だけで済ませない

ガイドラインには、配食の利用は1日1回から週に数回程度の人が多く、配食以外の食事も大切だと書かれています。事業者は「配食を利用していれば大丈夫」という意識を持たれないよう注意する、とも書かれています。

お弁当を頼んだら、残りの食事は親任せ、にならないようにします。朝食や、お弁当のない日の食事を、電話で聞くことが続けやすい工夫です。

親に切り出す順番

食事のことは、親にとって暮らしの自立に近い話題です。「作れていない」と指摘されたように聞こえると、断られやすくなります。

ソファに座る娘が、スマートフォンのテレビ電話で母親と穏やかに話している。机にメモ帳とお茶
電話では、作れているかより「おいしかった?」から聞いてみます

家族の都合として頼む

「毎日作るのは大変でしょ。私が安心したいから、試しに1週間だけ頼んでみない?」と、家族の頼みごとの形にします。親のためという言い方より、断りにくさが減ります。

小さく試して、やめてよいと伝える

初めは、週に1回や、作りたくない日だけにします。味や量が合わなければ、やめてよいとも先に伝えます。続けるかどうかは、親が決められる形にしておくと、受け入れてもらいやすくなります。

届いたあとの様子を知る

お弁当や配食を頼んだら、それで終わりではありません。届いたものを食べているか、残していないかが、次の気づきになります。

BabuuTalkは、実家に置いたタブレットが毎日声をかけ、親の応答を家族に通知する見守りです。LINEから「今日は12時ごろにお弁当が届くよ」と書いておくと、実家の画面の掲示板に伝言として出ます。届いたことを親自身が思い出せるので、受け取りそびれを減らす助けになります。

BabuuTalkのタブレット画面。家族からのお知らせの伝言が大きく表示され、下に「わかった」ボタン
実家のタブレットの画面。家族が書いた伝言が大きく出て、親は「わかった」を押すだけです

Android端末(タブレットや使っていないスマホ)があればアプリは無料で、続けて使うなら画面の大きなタブレットが見やすくなります。食事の内容を判断するものではなく、日々の声かけで、親の様子を家族が受け取る手段のひとつです。食事や体重の変化が続くときは、かかりつけ医か地域包括支援センターにご相談ください。

テレビ電話で顔を見ながら話せるので、お弁当の話をきっかけに、食べる様子を見せてもらうこともできます。声が聞こえにくい親には、通話中の自動字幕が助けになります。見守りの考え方は親の見守り、何から始める?機器を選ぶ前にやることにまとめています。

今日、親に聞くこと

今日できることは、次の2つです。

  1. 電話で「昨日の晩ごはん、何だった?」と聞く。 買う・作る・食べるのどこで困っているかを、会話の中から探します。責めずに、答えを聞くだけで構いません
  2. 親の市区町村に、配食と宅配の案内がないか電話で聞く。 地域包括支援センターでも構いません。見つかった窓口の電話番号と受付時間を、メモに残してください

食事の心配の背景に、体重の減りがある場合は、帰省したら親が痩せていた。気づいたときに確認することもあわせて読んでみてください。離れていても、親の食卓を少しずつ整えていくことはできます。

FAQよくある質問

自治体の配食サービスは、誰でも使えますか?
対象は自治体ごとに決まっています。たとえば富山市の「食」の自立支援事業は、おおむね65歳以上のひとり暮らしか高齢者のみの世帯で、食事の調理が難しい方が対象です。親の住む市区町村の高齢福祉の窓口か、地域包括支援センターで確認できます。
配食を頼めば、食事は足りると考えてよいですか?
配食は1日1回から週に数回の利用が多く、配食以外の食事も大切だと国のガイドラインに書かれています。配食だけで足りると思い込まず、残りの食事も含めて親に聞いてみてください。
親が「自分で作れる」と言って頼みたがらないときは?
「毎日」ではなく「作りたくない日だけ」「週に1回だけ」など、小さく試す形にすると受け入れられやすくなります。味や量が合わなければやめてよいと先に伝えておくと、断りやすさが残ります。
買い物代行や宅配を探すには、どこに聞けばいいですか?
親の市区町村の窓口や地域包括支援センターに、地域の宅配や配達の一覧がないか聞いてみてください。自治体によっては、宅配をしている店を載せたガイドや地図を作っています。
食事の内容が心配で、医師の指示がある場合は?
塩分やカロリーの制限が必要なときは、配食を頼む前に、かかりつけ医に相談してください。自治体によっては、制限食を希望する場合に医師の食事箋の提出を求めています。
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