親の介護、最初の相談先は?遠方の家族が電話する前に

親の介護で最初に頼る窓口は、親の住所を担当する地域包括支援センターです。遠方の家族が電話するときの伝え方、準備するメモ、その後の流れを一次情報で整理します。

公開 読了 約6分 執筆 株式会社BabuuTalk

台所でスマートフォンを耳に当て、手元のメモ帳を見ている娘と、奥で家事をする両親
目次

この記事の要点

  • 最初の窓口は、親の住所を担当する地域包括支援センター
  • 探すのは自分ではなく親の住所で。親の市区町村の窓口で分かる
  • 電話の前に、困りごと3つと親の基本情報をメモにしておく

親の様子が気になり始めたとき、「介護のことは、まずどこに聞けばいいのだろう」と手が止まる方は多いと思います。役所なのか、病院なのか、ケアマネジャーなのか。遠くに住んでいると、聞く先の見当もつきにくいものです。この記事では、最初に頼る窓口と、電話をかける前に準備することを整理します。

結論から言うと、最初の相談先は、親が住む住所を担当する地域包括支援センターです。介護保険を使う前でも、家族だけでも相談できます。話す内容を先にメモにしておけば、最初の電話は10分ほどの短いやり取りで足ります。

食卓でノートに気づいたことを書き出す娘。奥のソファに両親、隣に家族が座っている
電話をかける前に、気づいたことをノートに書き出しておきます

最初の窓口は包括

地域包括支援センターは、高齢者の暮らしについて総合的に相談できる窓口です。厚生労働省の案内では、保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員の3つの専門職が置かれる、地域包括ケアの中核的な機関とされています。

数字も確認しておきます。全国に5,487か所(支所を含めると7,374か所)あります(出典:厚生労働省「地域包括ケアシステム」、令和7年4月末現在)。身近な地域ごとに置かれている窓口です。

何を相談できるか

大阪市の案内には、対象は高齢者とその家族で、介護、福祉、保健の相談に応じ、必要に応じて訪問して実態を把握し、必要なサービスにつなぐと書かれています。主な業務は、総合相談、虐待の防止と権利擁護、ケアマネジャーの支援、要支援の方などへの介護予防の支援です。

長崎市の案内には、介護保険の利用方法、足腰が弱ってきた心配、お金の管理の不安、家族の介護の負担、近所の一人暮らしの高齢者が気になる、仕事と介護の両立といった例が挙がっています。「これは相談していいことだろうか」と迷う内容の多くは、対象に入ると考えてよさそうです。

親の住所で探す

センターは、住所ごとに担当が決まっています。ここが遠方の家族のつまずきやすいところです。自分の住まいの近くのセンターではなく、親が暮らす住所を担当するセンターに連絡します。

電話1本から支援が始まるまでを、親の住所で探す、電話で状況を伝える、訪問や面談、次の手続きへの4段階で示した図解
最初の電話から次の手続きまでの流れ。急いで全部を決める必要はありません

探し方は3つあります。

  • 介護サービス情報公表システム: 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」は、地域包括支援センターも公表の対象にしています。都道府県を選んで、親の地域の情報を見られます
  • 親の市区町村の窓口: 高齢福祉や介護保険の担当課に電話して「実家の住所の担当センターを教えてください」と聞けば、案内してもらえます。自治体のサイトには、担当地区の一覧を載せているところもあります
  • 親のもとにある書類: 市区町村からの高齢者向けの案内に、センターの連絡先が載っていることがあります。帰省したときに探してみてください

電話の前のメモ

初めての電話で戸惑いやすいのは、「何から話せばいいか」です。話す順番が決まっていると落ち着いて話せます。準備するのは次の2つです。

困りごとを3つ

「最近気になること」を、大きいことから順に3つ書き出します。難しく考えず、見聞きした事実をそのまま書けば足ります。

たとえば、「電話に何度かけても出ない日がある」「薬の袋が同じ場所に溜まっている」「冷蔵庫に同じ物が何個もあった」といった具合です。いつ、どこで、どうだったかが分かる書き方にすると、職員が状況を思い浮かべやすくなります。

診断や病名を推測して書く必要はありません。「認知症かもしれない」と書くより、実際に見た様子を書くほうが、話が正確に伝わります。判断はセンターの職員や、その先の専門家に任せてください。

親の基本情報

次に、親の基本情報を控えておきます。聞かれたときにすぐ答えられるようにするためです。

  • 親の氏名、生年月日、住所と電話番号
  • 一緒に暮らしている人と、近くにいる親族や知人
  • かかりつけの病院と、飲んでいる薬の分かる範囲
  • 介護保険の被保険者証があるか、すでに介護サービスを使っているか

すべて埋まらなくて構いません。分からない項目は「分からない」と伝えれば大丈夫です。帰省の予定があれば、そのときに確認する項目としてメモに残しておきます。

電話で聞くこと

電話では、こちらから話すだけでなく、聞きたいことも決めておきます。次の4つを聞くと、その後の動きが見えます。

最初の電話で聞くと、その後の動きが見えてきます
聞くこと 理由
担当地区に当たるか 住所で担当が決まるため
相談できる時間帯 平日の日中が中心のため
訪問はあるか 実家の様子を見てもらえるため
次にすること 家族側の宿題を知るため

家族が遠方であることを伝える

冒頭で「離れて暮らす家族です」と伝えます。それだけで、職員は「本人と直接連絡が取れる時間帯」や「家族への連絡方法」を意識して話を進めてくれます。家族への報告は電話が良いか、メールや手紙が良いかも、この時点で決めておくと後が楽になります。

親に会う前でも構わない

親に相談することを話していなくても、電話はできます。ただ、電話のあとに職員が親へ連絡したり、訪問したりする場合があります。事前に親が全く知らないと驚かせてしまうので、あとから「困ったときの窓口を調べてみたよ」と一言伝えられるようにしておくと安心です。

実家の玄関先で、高齢の女性が書類フォルダを持った女性の相談員に穏やかに挨拶している
必要に応じて、職員が実家を訪ねて様子を見ます

電話のあとの流れ

最初の電話が、そのまま何かの手続きの開始になるわけではありません。相談の内容によって、次の動きが変わります。

  • 話を聞いて終わる: 困りごとが小さければ、地域の集まりや介護予防の教室など、使える場所の案内を受けます
  • 訪問や面談に進む: 実家の様子を見たほうがいいと考えられれば、職員が親を訪ねて状況を把握します
  • 要介護認定の申請へ進む: 介護保険のサービスが必要なら、申請の手続きに進みます。流れは要支援と要介護、何が違う?申請までの流れで詳しく整理しています

どの場合も、結論を電話1本で出す必要はありません。「まず相談して状況を知る」ことが、最初の一歩になります。

家族の連絡を続ける

電話をかけたあとに大事なのは、家族でその内容を共有し続けることです。きょうだいがいるなら、電話の内容とセンターの連絡先を、その日のうちに共有しておきます。家族の中の連絡係の決め方は、介護が始まる前に、家族で決めておくことでも触れています。

BabuuTalkは、実家に置いたタブレットが毎日声をかけ、親の応答を家族に通知する見守りです。Android端末(タブレットや使っていないスマホ)があればアプリは無料で、続けて使うなら画面の大きなタブレットが見やすくなります。電話するときに「先週はどうだったか」を思い出す材料になり、次に相談するときの日付つきの手がかりが残ります。

BabuuTalkのタブレット画面。大きく表示された時刻と日付、下に「呼ぶ」ボタン
実家のタブレットの画面。普段はシンプルな待受で、家族からの呼びかけにすぐ応えられます

相談窓口としての役割を担うのは、地域包括支援センターです。BabuuTalkは日々の様子を家族が受け取るためのもので、介護の判断や手続きの代わりになるものではありません。気になる変化が続くときは、次の帰省を待たず、センターへ電話してください。

今日、親の住所を調べる

今日できることは、次の2つです。

  1. 親の住所で、担当の地域包括支援センターを調べる。 介護サービス情報公表システムで探すか、親の市区町村に電話して聞きます。電話番号と受付時間を、スマホのメモに残してください
  2. 最近気になったことを、3つだけメモにする。 完璧でなくて構いません。あとで足せるように、日付を添えておきます

親と話すときは、親が同じ話を繰り返す。家族が最初にできることのように、責めない聞き方を心がけると、相談しやすい雰囲気ができます。日々の見守りから始めたい方は、親の見守り、何から始める?もあわせて読んでみてください。

居間のテーブルで、息子と高齢の父親がお茶を飲みながら穏やかに話している
帰省したときに、「困ったときの窓口を控えておきたい」と伝えてみます

FAQよくある質問

相談に、親本人の同意や同席は必要ですか?
案内している自治体の多くは、高齢者本人だけでなく家族も相談の対象にしています。本人が同席できなくても、まず家族から状況を伝えることはできます。訪問や面談の進め方は、センターが本人の様子を見ながら考えます。
介護保険を使っていなくても相談できますか?
できます。介護保険の申請前の段階や、「まだ介護というほどではないが心配」という段階の相談も受け付けています。困りごとがはっきりしていなくても構いません。
相談は有料ですか?
地域包括支援センターは市区町村が設置する公的な相談窓口です。費用の扱いは自治体の案内で確認できるので、電話のときに一言聞いておくと確実です。
親が「まだ大丈夫」と言って相談を嫌がります。
家族の側だけで相談することもできます。親には「困ったときの窓口の電話番号を控えておきたい」と伝えるなど、相談を頼みごとの形にすると受け入れられやすくなります。
電話がつながる時間帯は決まっていますか?
センターごとに違います。平日の日中が基本になるので、仕事の休憩時間に電話できるかどうかを、番号を調べるときにあわせて確認しておくと安心です。
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