親の介護、最初の相談先は?遠方の家族が電話する前に
親の介護で最初に頼る窓口は、親の住所を担当する地域包括支援センターです。遠方の家族が電話するときの伝え方、準備するメモ、その後の流れを一次情報で整理します。
目次
この記事の要点
- 最初の窓口は、親の住所を担当する地域包括支援センター
- 探すのは自分ではなく親の住所で。親の市区町村の窓口で分かる
- 電話の前に、困りごと3つと親の基本情報をメモにしておく
親の様子が気になり始めたとき、「介護のことは、まずどこに聞けばいいのだろう」と手が止まる方は多いと思います。役所なのか、病院なのか、ケアマネジャーなのか。遠くに住んでいると、聞く先の見当もつきにくいものです。この記事では、最初に頼る窓口と、電話をかける前に準備することを整理します。
結論から言うと、最初の相談先は、親が住む住所を担当する地域包括支援センターです。介護保険を使う前でも、家族だけでも相談できます。話す内容を先にメモにしておけば、最初の電話は10分ほどの短いやり取りで足ります。
最初の窓口は包括
地域包括支援センターは、高齢者の暮らしについて総合的に相談できる窓口です。厚生労働省の案内では、保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員の3つの専門職が置かれる、地域包括ケアの中核的な機関とされています。
数字も確認しておきます。全国に5,487か所(支所を含めると7,374か所)あります(出典:厚生労働省「地域包括ケアシステム」、令和7年4月末現在)。身近な地域ごとに置かれている窓口です。
何を相談できるか
大阪市の案内には、対象は高齢者とその家族で、介護、福祉、保健の相談に応じ、必要に応じて訪問して実態を把握し、必要なサービスにつなぐと書かれています。主な業務は、総合相談、虐待の防止と権利擁護、ケアマネジャーの支援、要支援の方などへの介護予防の支援です。
長崎市の案内には、介護保険の利用方法、足腰が弱ってきた心配、お金の管理の不安、家族の介護の負担、近所の一人暮らしの高齢者が気になる、仕事と介護の両立といった例が挙がっています。「これは相談していいことだろうか」と迷う内容の多くは、対象に入ると考えてよさそうです。
親の住所で探す
センターは、住所ごとに担当が決まっています。ここが遠方の家族のつまずきやすいところです。自分の住まいの近くのセンターではなく、親が暮らす住所を担当するセンターに連絡します。
探し方は3つあります。
- 介護サービス情報公表システム: 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」は、地域包括支援センターも公表の対象にしています。都道府県を選んで、親の地域の情報を見られます
- 親の市区町村の窓口: 高齢福祉や介護保険の担当課に電話して「実家の住所の担当センターを教えてください」と聞けば、案内してもらえます。自治体のサイトには、担当地区の一覧を載せているところもあります
- 親のもとにある書類: 市区町村からの高齢者向けの案内に、センターの連絡先が載っていることがあります。帰省したときに探してみてください
電話の前のメモ
初めての電話で戸惑いやすいのは、「何から話せばいいか」です。話す順番が決まっていると落ち着いて話せます。準備するのは次の2つです。
困りごとを3つ
「最近気になること」を、大きいことから順に3つ書き出します。難しく考えず、見聞きした事実をそのまま書けば足ります。
たとえば、「電話に何度かけても出ない日がある」「薬の袋が同じ場所に溜まっている」「冷蔵庫に同じ物が何個もあった」といった具合です。いつ、どこで、どうだったかが分かる書き方にすると、職員が状況を思い浮かべやすくなります。
診断や病名を推測して書く必要はありません。「認知症かもしれない」と書くより、実際に見た様子を書くほうが、話が正確に伝わります。判断はセンターの職員や、その先の専門家に任せてください。
親の基本情報
次に、親の基本情報を控えておきます。聞かれたときにすぐ答えられるようにするためです。
- 親の氏名、生年月日、住所と電話番号
- 一緒に暮らしている人と、近くにいる親族や知人
- かかりつけの病院と、飲んでいる薬の分かる範囲
- 介護保険の被保険者証があるか、すでに介護サービスを使っているか
すべて埋まらなくて構いません。分からない項目は「分からない」と伝えれば大丈夫です。帰省の予定があれば、そのときに確認する項目としてメモに残しておきます。
電話で聞くこと
電話では、こちらから話すだけでなく、聞きたいことも決めておきます。次の4つを聞くと、その後の動きが見えます。
| 聞くこと | 理由 |
|---|---|
| 担当地区に当たるか | 住所で担当が決まるため |
| 相談できる時間帯 | 平日の日中が中心のため |
| 訪問はあるか | 実家の様子を見てもらえるため |
| 次にすること | 家族側の宿題を知るため |
家族が遠方であることを伝える
冒頭で「離れて暮らす家族です」と伝えます。それだけで、職員は「本人と直接連絡が取れる時間帯」や「家族への連絡方法」を意識して話を進めてくれます。家族への報告は電話が良いか、メールや手紙が良いかも、この時点で決めておくと後が楽になります。
親に会う前でも構わない
親に相談することを話していなくても、電話はできます。ただ、電話のあとに職員が親へ連絡したり、訪問したりする場合があります。事前に親が全く知らないと驚かせてしまうので、あとから「困ったときの窓口を調べてみたよ」と一言伝えられるようにしておくと安心です。
電話のあとの流れ
最初の電話が、そのまま何かの手続きの開始になるわけではありません。相談の内容によって、次の動きが変わります。
- 話を聞いて終わる: 困りごとが小さければ、地域の集まりや介護予防の教室など、使える場所の案内を受けます
- 訪問や面談に進む: 実家の様子を見たほうがいいと考えられれば、職員が親を訪ねて状況を把握します
- 要介護認定の申請へ進む: 介護保険のサービスが必要なら、申請の手続きに進みます。流れは要支援と要介護、何が違う?申請までの流れで詳しく整理しています
どの場合も、結論を電話1本で出す必要はありません。「まず相談して状況を知る」ことが、最初の一歩になります。
家族の連絡を続ける
電話をかけたあとに大事なのは、家族でその内容を共有し続けることです。きょうだいがいるなら、電話の内容とセンターの連絡先を、その日のうちに共有しておきます。家族の中の連絡係の決め方は、介護が始まる前に、家族で決めておくことでも触れています。
BabuuTalkは、実家に置いたタブレットが毎日声をかけ、親の応答を家族に通知する見守りです。Android端末(タブレットや使っていないスマホ)があればアプリは無料で、続けて使うなら画面の大きなタブレットが見やすくなります。電話するときに「先週はどうだったか」を思い出す材料になり、次に相談するときの日付つきの手がかりが残ります。
相談窓口としての役割を担うのは、地域包括支援センターです。BabuuTalkは日々の様子を家族が受け取るためのもので、介護の判断や手続きの代わりになるものではありません。気になる変化が続くときは、次の帰省を待たず、センターへ電話してください。
今日、親の住所を調べる
今日できることは、次の2つです。
- 親の住所で、担当の地域包括支援センターを調べる。 介護サービス情報公表システムで探すか、親の市区町村に電話して聞きます。電話番号と受付時間を、スマホのメモに残してください
- 最近気になったことを、3つだけメモにする。 完璧でなくて構いません。あとで足せるように、日付を添えておきます
親と話すときは、親が同じ話を繰り返す。家族が最初にできることのように、責めない聞き方を心がけると、相談しやすい雰囲気ができます。日々の見守りから始めたい方は、親の見守り、何から始める?もあわせて読んでみてください。