親の入浴が心配。デイサービスと訪問入浴、どう使い分ける?
親の入浴が不安なとき、訪問介護・訪問入浴介護・デイサービスは何が違うのか。親の状態と家の浴室から選ぶ順番と、ケアマネジャーに伝えることを整理します。
目次
この記事の要点
- 入浴の手伝いは、自宅・入浴車・施設の3つの形
- 選ぶ軸は、自宅の浴室が使えるかと、外出できるか
- 決めるのはケアマネジャー。家族は様子をメモして伝える
帰省したとき、「お風呂、ちゃんと入れているのかな」と気になったことはありませんか。脱衣所の床が濡れていない、着替えが同じまま、浴槽をまたぐ動きがゆっくりになった。そんな小さな変化に気づいても、離れていると、何をすればいいのか分からないものです。この記事では、入浴の手伝いを頼める介護サービスの違いと、親の状態に合わせた選び方を整理します。
結論から言うと、入浴を手伝ってもらう形は大きく3つあります。ヘルパーが自宅に来る訪問介護、浴槽を積んだ車が来る訪問入浴介護、施設に通うデイサービスです。どれが合うかは、自宅の浴室が使えるか、外出できるかで絞れます。最終的な組み立てはケアマネジャーが行うので、家族の役目は、親の様子を具体的に伝えることです。
入浴を頼める3つの形
入浴の手伝いは、場所で分けると考えやすくなります。自宅の浴室で入るか、自宅に設備を持ち込むか、施設に出かけるかです。サービスの名前だけを見ると似ていて混乱しますが、「どこで入るか」で並べると違いがはっきりします。
訪問介護
ヘルパーが自宅へ来る
- 入る場所
- 自宅の浴室
- 向く人
- 浴室は使えるが、一人だと不安
- ポイント
- 着替えや掃除なども一緒に頼める
訪問入浴介護
入浴車が自宅へ来る
- 入る場所
- 自宅に運び込む浴槽
- 向く人
- 自宅の浴室が使いにくい人
- ポイント
- 看護師などが体調を確認する
通所介護
デイサービスに通う
- 入る場所
- 施設の浴室
- 向く人
- 外出できて、人との交流も欲しい人
- ポイント
- 食事や体操などと一緒に過ごす
入浴を手伝ってもらう3つの形(自治体の案内をもとに整理)
ここで挙げた内容は、大田区「介護保険サービスの種類」の案内に沿って整理しています。訪問入浴介護は、自宅に浴室がない場合や、感染症などで施設の浴室を使いにくい場合などに使うものとして紹介されています。看護師などが健康のチェックも行う点が、ほかの2つと違うところです。
訪問介護は「自宅の風呂を使う」
訪問介護は、いつもの浴室でいつもの入り方を続けたい人に合います。ヘルパーが脱衣、洗身、着替えを手伝います。浴室に手すりや滑り止めがあれば、もっと安心して入れます。段差や手すりの改修は、実家の転倒予防、手すりや段差解消は介護保険で直せる?で整理した方法が使えます。
訪問入浴介護は「浴室が壁になる」とき
階段の上り下りが難しい、浴室が狭くて介助の人が入れない、浴槽をまたげないといった場合に検討します。入浴車が自宅に来るので、本人は移動の負担が少なく済みます。体調の確認が入るぶん、準備や時間の取り方は事業所に聞いておきます。
デイサービスは「出かける場所ごと」
デイサービスの入浴は、一日の過ごし方の一部です。送迎があり、食事や体操、他の利用者との会話も含まれます。入浴を目的に選ぶ場合でも、人と過ごす時間が加わるので、家にこもりがちな親には外に出る理由になることがあります。一方で、集団の場が苦手な親には負担になることもあるので、見学や体験で様子を見ます。
選ぶ順番は3つの質問
どれを選ぶか迷ったら、次の3つを順に確かめます。細かい条件を考える前に、ここで大きく分かれます。
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自宅の浴室は使えるか
浴槽の高さ、広さ、脱衣所の寒さ、手すりの有無を見ます。使えるなら訪問介護、使いにくいなら訪問入浴介護が候補になります。
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外に出かけられるか
送迎の車の乗り降りと、施設での移動ができるかを見ます。できるなら、デイサービスも候補に加わります。
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人と過ごすのは苦にならないか
昔から集まりが好きか、一人の時間を大事にする人かを思い出します。苦手なら、自宅で完結する形から始めます。
どれか1つに決める必要はありません。たとえば、普段は訪問介護で自宅の浴室を使い、冬の寒い時期だけデイサービスの入浴を増やす、という組み合わせもあります。親の体の状態は季節や体調で変わるので、いまの形で固定しない前提で考えてください。
要支援でも使えるのか
親がまだ要支援の段階だと、「入浴の手伝いは要介護にならないと使えないのでは」と心配になります。ここは、サービスごとに扱いが違います。大田区の案内では、訪問入浴介護は要支援1・2でも使えるものとして示されています。一方、訪問介護とデイサービスは、要支援の人への提供のしかたが自治体の事業(介護予防・日常生活支援総合事業)で定められているため、案内が別になっています。
つまり、要支援の親が使える入浴の形は、住んでいる自治体によって違います。ネットで見た一般的な説明が、親の住む市区町村に当てはまるとは限りません。要支援と要介護の違いは、要支援と要介護、何が違う?申請までの流れにまとめています。
家族がケアマネに伝えること
サービスの組み立ては、ケアプランを作るケアマネジャーが行います。親の担当がまだいない場合は、親の住所を担当する地域包括支援センターに相談すると、窓口を教えてもらえます。電話の準備は、親の介護、最初の相談先は?遠方の家族が電話する前にが参考になります。センターは市町村が設置する、高齢者の総合相談の窓口です(出典:厚生労働省「地域包括支援センター」)。
相談の前に、次のような事実をメモにしておくと、話が早く進みます。診断や原因を推測する必要はありません。見たままを書けば足ります。
- 入り方の様子: 浴槽をまたぐときにふらつく、立ち上がるのに時間がかかる
- 入浴の頻度: 以前より回数が減った、「寒いから今日はやめた」と言う日が増えた
- 浴室の環境: 手すりの有無、脱衣所に暖房があるか、浴槽の深さ
- 親の気持ち: 人に手伝われることへの抵抗、集まりが好きか苦手か
嫌がる親への話し方
入浴の手伝いは、親にとって最もプライベートなことの一つです。「ヘルパーさんに頼もうよ」と切り出すと、「まだ大丈夫」と断られがちです。話しかけるきっかけは、親の側の困りごとから探します。
たとえば、「冬は浴室が寒いから、少しでも楽に入れる方法を一緒に探したい」と伝えます。嫌がる気持ちが強いときは、いきなり契約するのではなく、デイサービスの見学や体験から始めて、様子を見る方法もあります。同性の職員を希望できるかなど、気になる点は事業所に聞けます。冬の入浴そのものの備えは、実家のヒートショック対策、一人暮らしの親に何ができる?にまとめています。
離れていても続ける工夫
サービスを使い始めたら、あとは「入浴の日」を親が覚えておけるかが、続けるうえで大きなポイントです。デイサービスの迎えが来る朝に、親がまだ寝ていた、という行き違いは起こりがちです。
BabuuTalk は、LINE から書いた予定や伝言を、実家のタブレットの掲示板に大きく表示できます。「今日はデイサービスの日。9時にお迎え」と前の晩に送っておけば、親は画面を見て、「わかった」ボタンを押すだけで応えられます。毎日の声かけに返事が来るので、いつもと違う朝にも気づきやすくなります。Android端末(タブレットや使っていないスマホ)があればアプリは無料で、続けて使うならタブレットが見やすい、という位置づけです。
入浴の様子に気になる変化があれば、かかりつけ医やケアマネジャーに相談してください。介護サービスの費用の考え方は、親の介護の自己負担が重い。高額介護サービス費で戻るお金と申請の進め方で触れています。
今日できる一歩
最後に、今日からできることを2つ挙げます。
- 親の入浴の様子を、事実でメモする。 「ふらつく」「回数が減った」のように、見たままを3行書きます。次に帰省したときは、浴室の手すりと脱衣所の寒さも見ておきます
- 親の住所を担当する窓口に電話する。 地域包括支援センターは、厚生労働省の介護サービス情報公表システムや、親の市区町村のサイトで探せます。サービスの種類ごとに、近くの事業所も調べられます
入浴は、一度決めたら終わりではなく、親の様子に合わせて組み替えていくものです。家族が全部を抱えず、専門職とつながっておくことで、離れていても続けやすくなります。