親の介護の自己負担が重い。高額介護サービス費で戻るお金と申請の進め方

介護サービスの自己負担が月の上限を超えると、超えた分が戻る高額介護サービス費。上限額の区分、対象になる費用、初回だけの申請、2年の期限を、自治体の案内で整理します。

公開 読了 約6分 執筆 株式会社BabuuTalk

居間のテーブルで、届いた書類を一緒に読む高齢の母親と娘
目次

この記事の要点

  • 1か月の自己負担が上限を超えると、超えた分が戻る
  • 上限は所得の区分で決まり、申請は原則として初回だけ
  • 申請の期限は払った翌日から2年。お知らせは早めに確認

親の介護が始まって数か月。デイサービスやヘルパーの請求が思ったより重く、「この負担は、ずっと続くのだろうか」と感じていませんか。介護保険には、自己負担が月の上限を超えたときに、超えた分が後から戻る仕組みがあります。それが高額介護サービス費です。

結論から言うと、戻るかどうかは親の所得の区分と、1か月の自己負担の合計で決まります。そして、申請は原則として初回だけで、期限は払った翌日から2年です。この記事では、上限の区分、対象にならない費用、申請の進め方を順に整理します。

実家の玄関脇で、郵便受けから出した封筒を手に考え込む高齢の父親と、居間から見守る家族
実家に届く自治体からの封筒。中に高額介護サービス費のお知らせが入っていることがあります

戻るお金の仕組み

介護保険のサービスを使うと、利用者は費用の1〜3割を自己負担します。高額介護サービス費は、この自己負担が1か月ごとの上限額を超えたとき、超えた分を後から支給する制度です。文京区の案内でも、超えた分が支給されるので、申請が必要だと説明されています。

大事なのは、いったん全額を払ってから戻るという点です。窓口で上限を超えた分が自動で引かれるわけではありません。サービス事業者には、先に自己負担の全額を払います。

戻るのは「あとから」

払い戻しは、サービスを使った月の数か月後になります。横浜市の案内では、サービスを使ってから4か月ほどして、お知らせと申請の手順が届くと説明されています。時期は自治体で違います。支払いが続く間の家計は、そのぶん余裕を見ておく必要があります。

月の上限は所得で決まる

上限額は、一律ではありません。所得の区分によって、いくつかに分かれています。文京区の案内によると、課税所得690万円以上の世帯は月140,100円、380万円以上690万円未満は93,000円、380万円未満の課税世帯は44,400円です。

文京区の案内では、住民税が非課税の世帯は月24,600円です。そのうち、課税年金収入と合計所得の合計が一定額以下の人や、老齢福祉年金を受けている人などは、個人で月15,000円になります。

月の上限額の区分(世帯は同じ世帯の利用者の合計)。出典は直前の段落の文京区の案内
親の区分 月の上限額
課税所得690万円以上 140,100円(世帯)
380万円以上690万円未満 93,000円(世帯)
380万円未満の課税世帯 44,400円(世帯)
世帯全員が住民税非課税 24,600円(世帯)
非課税で収入がさらに少ない 15,000円(個人)

非課税の区分にある「一定額」は、文京区の案内では年80万9千円とされていました。同じ案内には、この金額が2026年8月の利用分から、年82万6,500円に変わると書かれています。区分は毎年のように見直されるので、親の自己負担の上限は、自治体の最新の案内か、通知書で確かめてください。

親の区分はどこで分かる?

親がどの区分かは、自分で判断せず、市区町村に確認します。分からないときは、届いている通知を持って、窓口か地域包括支援センターで聞くのが確実です。上限額の表を見て、自分で当てはめて決めつけないでください。

対象になる費用、ならない費用

月の自己負担が重く感じても、そのすべてが計算に入るわけではありません。ここを知らないと、「上限を超えているはずなのに、お知らせが来ない」と戸惑います。

文京区の案内では、次のものは計算の対象外とされています。

  • 施設の費用: 居住費、食費、日常生活費
  • 福祉用具と住宅改修: 特定福祉用具の購入費、住宅改修費
  • 限度額を超えた分: 支給限度基準額を超えて使ったサービスの自己負担

つまり、対象になるのは、介護保険の範囲で使ったサービスの利用者負担です。介護保険の外で頼んだ家事の手伝いや、配食のお弁当代も入りません。

世帯で合算できる

同じ世帯に、介護サービスを使っている人が2人以上いるときは、自己負担を合計して上限を判定します。両親がともにデイサービスを使っているような場合です。二人分の請求書を並べて、合計で見てみましょう。

申請は初回だけ、期限は2年

申請の流れは、次の図のとおりです。

高額介護サービス費が戻るまでを、サービスを使う、お知らせが届く、初回だけ申請、口座に振込の4段階で示した図解
戻るまでの流れ。時期や方法は自治体で違います

文京区の案内では、上限を超えると区から申請書が届きます。書き込んで窓口に持参するか、郵送で出します。マイナンバーカードがあれば、マイナポータルから電子申請もできます。振り込みは申請から1〜3か月後で、2回目以降は初回に書いた口座に自動で振り込まれるとされています。

期限を過ぎると申請できない

いちばん気をつけたいのが期限です。文京区では、払った日の翌日から2年を過ぎると、時効で申請できなくなります。区から申請書が届いたときは、届いた日の翌日から数えます。横浜市の案内でも、2年(総合事業分は5年)で時効になるとされています。

お知らせの封筒は、見慣れない役所の文書として、親がしまい込んでしまうことがあります。次に帰省したときに、郵便物の中に未開封の封筒がないか、見ておくのがおすすめです。

振込先と代理の申請

親の口座を使うのが基本ですが、本人以外の口座に振り込むときは、委任状や口座振込依頼書が必要な自治体があります。堺市の案内では、本人以外の口座に払い戻すときの用紙が別に用意されています。親の代わりに子が書くときは、書類の組み合わせを窓口で聞いてください。

計算の例と、医療費の合算

仕組みをつかむために、計算のための仮の数字で考えてみます(上限は文京区の案内の区分)。親が上限44,400円の区分で、ある月に使ったサービスの自己負担が合計50,000円だったとします。この場合、窓口では50,000円を払い、あとから超えた分の5,600円が戻ります。

夜のダイニングで、母親が手に持つ書類をスマートフォンで見ながら、家計のノートにメモを取る娘
親の書類を写真で送ってもらい、家計と見比べて確認する

医療費も重いときは、別の制度もあります。医療保険と介護保険の自己負担を、年間で合計して軽くする高額医療合算介護サービス費です。年間の区切りは、8月から翌年7月までです。対象になる人には、案内が届くことがあるので、届いた書類は取っておいてください。

離れていてできる確認

遠くに住んでいると、請求書や封筒を直接見られません。それでも、できることはいくつかあります。

  • 利用明細の写真: 毎月の請求書や領収書を、写真で送ってもらう
  • 未開封の封筒: 市区町村の封筒を、開ける前に写真で見せてもらう
  • 口座の確認: 振り込み先が、親の使っている口座か

家族のLINEにスマートフォンで写真を送ってもらうのが、いちばん手軽です。写真が難しい親には、BabuuTalkで「次の電話で、介護の書類を一緒に見よう」と掲示板に書いておく方法もあります。テレビ電話は、操作しなくても自動でつながり、話した言葉は字幕で画面に出ます。

BabuuTalkのタブレット画面。家族からのお知らせが大きく出ていて、下に「わかった」ボタンがある
実家のタブレットの画面。LINEで書いた一言が、掲示板に大きく届きます

窓口で聞くときのこと

申請や区分の確認は、親の住む市区町村の介護保険の窓口です。電話で聞くときは、被保険者番号と、介護サービスの利用状況が分かる書類を手元に置きます。何から相談してよいか分からないときは、親の介護の最初の相談先も参考にしてください。

役所の介護保険の窓口で、職員が高齢の母親と付き添いの娘に、書類の書き方を案内している
窓口では、申請書の書き方や口座の選び方も教えてもらえます

次にすること

まず、次の電話か帰省で、3つのことをやってみてください。

  1. 市区町村の封筒を探す。 未開封のお知らせが残っていないか、写真で見せてもらいます。届いていたら、期限の2年が過ぎる前に出します
  2. 毎月の自己負担を確認する。 請求書の合計が、親の区分の上限を超えていないかを見ます。区分が分からなければ、窓口で聞きます
  3. 相談する人を決める。 ケアマネジャーに、利用料の相談をしてもよいか聞いてみます。サービスの組み立てを見直すと、負担が変わることもあります

介護の費用は、親の暮らしを続けるための大切な土台です。保険料の側は親に届いた介護保険料の通知の見方に、サービス側の相談はケアマネジャーの選び方と変え方にまとめています。

FAQよくある質問

高額介護サービス費は、自分から申請しないともらえませんか?
申請が必要です。多くの自治体では、上限を超えた人にお知らせと申請書を送ってくれます。届いた書類は、後回しにせず早めに出してください。お知らせが届かないまま心配なときは、市区町村の介護保険の窓口に問い合わせると確認できます。
毎月申請しなければいけませんか?
自治体の案内では、申請は初回だけで、2回目以降は初回に書いた口座に自動で振り込まれるとするところが多くあります。ただし、口座を変えたいときなどは手続きが必要になることがあるので、親の住む自治体の案内で確かめてください。
親が亡くなったあとでも、申請できますか?
期限内なら、相続人が申請できる自治体があります。その場合は、通常の書類に加えて、相続人であることが分かる書類などが求められることがあります。必要なものは自治体ごとに違うので、窓口に電話で聞いてください。
施設の食費や居住費も戻りますか?
施設の食費、居住費、日常生活費は、高額介護サービス費の計算には入りません。福祉用具の購入費や住宅改修費も対象外です。対象になるのは、介護保険のサービスを使ったときの利用者負担分です。
医療費も重いときは、別の制度がありますか?
医療保険と介護保険の自己負担を、年間で合計して軽くする高額医療合算介護サービス費という制度があります。対象になる人には自治体や医療保険から案内が届くことがあるので、届いた書類を取っておいてください。
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