実家のヒートショック対策、一人暮らしの親に何ができる?
冬に増える入浴中の事故について、消費者庁の注意喚起をもとに、同居していない家族が今からできる対策と、声かけを仕組みにする工夫を整理します。
目次
この記事の要点
- ヒートショックは、脱衣所と浴室を暖める、湯温を下げる、入浴の前後にひと声かけるの3つで備えられる
- 消費者庁は「入浴前に同居者に一声かける」ことを対策に挙げているが、一人暮らしの実家ではこの前提が使えない
- 家族から先に声をかける、親は文字を打たずに応えられる方法にするなど、声かけを仕組みにする工夫がある
- 帰省したときに脱衣所の暖房と給湯温度を確認しておくと、冬の間ずっと安心材料になる
実家の親が一人暮らしをしていると、冬になるたび、お風呂で倒れていないかと気になることがあると思います。脱衣所と浴室の寒暖差で起こる「ヒートショック」は、同居していれば家族が異変に気づけますが、一人暮らしではその前提が崩れます。
結論から言うと、対策そのものは同居でも一人暮らしでも変わりません。脱衣所と浴室を暖める、湯温を下げる、入浴の前後にひと声かける、この3つです。この記事では、消費者庁の注意喚起をもとに、同居していない家族がこの3つ目の「声かけ」をどう仕組みにするか、帰省したときの確認とあわせて整理します。
なぜ実家の入浴が危ないか
ヒートショックは、暖かい居間から寒い脱衣所や浴室に移動し、そのあと熱い湯に入ることで血圧が急激に上下する現象です。血管や心臓に急な負担がかかり、めまいや意識を失うことにつながります。加齢で体温を調節する働きが落ちてくると、若いころより血圧の変化が大きくなりやすいとされています。冬場は居間を暖房で暖める家庭が多い一方、脱衣所や浴室まで暖める習慣は少ないため、家の中の温度差がいちばん大きくなりやすい場所でもあります。
消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!」によると、高齢者の「不慮の溺死及び溺水」による死亡者数は高い水準で推移していて、近年は交通事故による死亡者数よりも多くなっています。発生場所は自宅の浴槽が中心で、11月から4月の冬季に集中して起きています。
消費者庁が挙げる5つの対策
同じページでは、安全に入浴するための対策として次の5点が挙げられています。
- 脱衣所と浴室を暖める 入浴前にあらかじめ暖房を入れておく
- 湯温は41度以下 つかる時間は10分までを目安にする
- 急に立ち上がらない 浴槽から出るときはゆっくり動く
- 食後・飲酒後・薬を飲んだ後を避ける 血圧が変わりやすいタイミングでの入浴を避ける
- 入浴前にひと声かける 同居者に一声かけて、意識してもらう
この5つのうち、最後の「同居者に一声かける」だけは、一人暮らしの実家ではそのまま使えません。声をかける相手が、その場にいないからです。
一人暮らしの親への声かけ
同居していれば、入浴の前後に「お風呂入るよ」「出たよ」を伝え合うだけで済みます。一人暮らしでは、この一言を届ける相手を、家族の側で用意する必要があります。やり方は、親がふだん使っている連絡手段に合わせて選びます。
- 家族から先に声をかける 毎日ではなく、入浴しやすい時間帯を1つ決めて、その時間に電話や連絡を入れる習慣にする
- 親には一言だけ返してもらう 電話に出る、スタンプを押す、ボタンを押すなど、文字を打たずに済む方法にすると続けやすい
この流れを、思い出したときだけ試すのではなく、決まった時間の習慣にしておくと、家族も親も負担に感じにくくなります。曜日を決めて電話する、夕方6時ごろに一言送るなど、具体的な時間を1つ決めておくのがコツです。時間を決めずに「気が向いたら連絡する」形だと、忙しい日に抜けてしまい、続けるのが難しくなります。
脱衣所を暖める準備
声かけと合わせて、環境を整えておくことも対策になります。脱衣所に暖房が無い家は、小型の電気ヒーターを置くだけでも、居間との温度差をかなり小さくできます。エアコンの温風を脱衣所まで届かせるより、狭い空間を短時間で暖めやすくなります。
温風が出るタイプは早く暖まりますが、肌に長時間当たると低温やけどの原因になることがあるため、体から少し離した場所に置きます。パネルタイプは効果が出るまで時間がかかるので、入浴の少し前からつけておく必要があります。
電気ヒーターを置くときは、タオルや衣類など燃えやすい物を器具の近くに置かないようにします。つけたまま外出したり、誰もいない時間に長時間つけっぱなしにしたりしないよう、電源を切るタイミングを親と決めておくと安心です。
給湯器の設定温度も、帰省したときに一緒に確認しておきたいポイントです。リモコンの温度表示が41度を超えている家庭は珍しくありません。高めに設定されている場合は、この機会に見直しを勧めてみてください。
帰省時に確認する5点
次に帰省したときに、次の5点を順番に確認しておくと、冬の間ずっと安心材料になります。
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脱衣所に暖房があるか
無ければ、小型のヒーターを置く場所とコンセントの位置を決めておきます。
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給湯器の設定温度
リモコンの表示を確認し、41度を超えていれば下げておきます。
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浴室の足元の安全
滑り止めマットや、立ち上がるときに使える手すりの有無を見ておきます。
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入浴の時間帯
いつも何時ごろ入っているかを聞いておくと、声かけの時間を決めやすくなります。
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声をかける相手
「わかった」と一言返す相手が、離れていても決まっているかを確認します。
いつもと違うに気づく仕組み
声かけを毎日の習慣にしておくと、返事が無かったときにも気づきやすくなります。いつもは夕方に届く一言が来ない、電話に出ない、声の張りがいつもと違う、入浴を避ける日が増えるといった変化は、気にかけておきたいサインです。
文字のやり取りが苦手な親には、テレビ電話ができる機器を置いておくのも一つの方法です。BabuuTalkの画面には家族からの一言がそのまま大きく表示されるので、家族から「そろそろお風呂は?」と声をかけることもできますし、本人は「わかった」を押すだけで応えられます。
毎日のやり取りに慣れておくと、親の見守り、何から始める?機器を選ぶ前にやることで触れた「いつもと違う」にも気づきやすくなります。体調に気になる変化があれば、かかりつけ医にご相談ください。
今日、親に伝える一言
最後に、今日からできることを2つ挙げます。
- 声をかける時間を1つ決める。 電話でもメッセージでも、毎日同じ時間に一言だけ送る習慣にすると、返事が無いときの変化にも気づきやすくなります
- 次に帰省したときに、脱衣所の暖房と給湯温度を確認する。 帰省したら親が痩せていた。気づいたときに確認することで紹介した確認とあわせて、この時期にまとめて見ておくと効率的です
同居していなくても、対策そのものは同じです。声をかける仕組みだけ実家の暮らし方に合わせて作っておけば、冬の入浴は今年も心配しすぎずに過ごせます。