親の見守り、何から始める?機器を選ぶ前にやること
離れて暮らす親の見守りを考え始めた方へ。機器を選ぶ前に確認しておきたい、親の生活の把握、家族内の役割分担、相談先を用意する順番を整理します。
目次
この記事の要点
- 最初にやることは機器選びではなく、親の1日の過ごし方と困りごとを知ること
- 家族の中で誰が中心になるかを、機器を入れる前に決めておくと続けやすい
- 困りごとの種類(会話・生活リズム・急な体調変化)によって、向く見守りの入り口は変わる
- 公的な相談先を1つ持っておくと、いざというときに迷わずに済む
「見守り 機器」「見守り サービス」で検索すると、カメラ、センサー、タブレット、緊急通報装置まで一気に出てきて、結局何から手をつければいいのか分からなくなると思います。
先に結論を書きます。最初にやることは、機器を選ぶことではありません。親が今どんな1日を過ごしていて、何に困っているかを知ることです。 ここを飛ばして機器を選ぶと、機能は立派でも「知りたかったことが分からない」「親が嫌がって使わなくなった」という結果になりがちです。この記事では、機器選びの前に確認しておきたいことを、順番に沿って整理します。
まず、親の1日を知る
見守りを考え始めるきっかけは、たいてい「なんとなく心配」という漠然とした感覚です。まずこれを、具体的な困りごとに変える作業から始めます。
次の3つを、電話でも帰省したときでもいいので、親に直接聞いてみてください。
- 1日の過ごし方:何時に起きて、いつ買い物や散歩に出て、いつ食事をして、いつ休むのか。生活のリズムが分かっていると、「いつもと違う」に気づきやすくなります
- 今、困っていること:階段の上り下りがつらい、買い物が重くて大変、一人で食事をすると量が減る、テレビ以外に話す相手がいない、など。心配なのは事故だけとは限りません
- 何を嫌だと感じるか:写真や映像で見られるのは嫌だ、機械の操作は苦手、電話は出るのが億劫、など。ここを知らずに機器を選ぶと、あとで使われなくなります
この段階では、まだ何も決めなくて構いません。目的は「親の生活の解像度を上げること」です。「なんとなく心配」のままでは、どんな機器も比較のしようがありません。 困りごとが具体的になって初めて、どの見守りの形が合うかが見えてきます。
次に、家族の役割を決める
親の状況が分かったら、次に決めるのは「誰が見守りの中心になるか」です。これを決めずに機器だけ導入すると、通知が来ても誰も対応せず、結局誰も見ていない状態になりかねません。
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中心になる人を1人決める
実家に近い人、連絡を取る頻度が高い人、平日日中に動ける人のいずれかが向いています。完璧な人を探す必要はなく、「まず気づく人」を1人決めれば十分です。
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他の家族への共有方法を決める
毎日の細かい様子まで全員で追う必要はありません。「いつもと違うと感じたときだけ連絡する」というルールにしておくと、共有する側もされる側も負担になりません。
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緊急時の連絡順を決めておく
中心の人が対応できないとき、次に誰に連絡するか。順番を1つ決めておくだけで、いざというときに迷いません。
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見守りの形を選ぶ
ここでようやく機器やサービスの検討に入ります。1と2で分かった困りごとと、親が嫌がる点をもとに選びます。
役割分担の連絡には、普段使っているLINEを使うのが現実的です。家族の誰かに新しいアプリを覚えてもらう必要があると、それだけで共有が止まってしまいます。実際に、家族側の連絡をLINEだけで完結させる方法はLINEだけで親を見守る方法にまとめています。
困りごとで入り口が変わる
「まず、親の1日を知る」で挙げた困りごとは、大きく3つの種類に分かれます。どれに近いかで、最初に検討する見守りの形が変わります。
会話や気持ちが心配
話す相手が減っている、元気かどうかが分からない
- 向く入り口
- 会話型の機器。毎日の声かけと、家族とのテレビ電話
- 分かること
- 声の調子、返事の内容、表情の変化
- 分からないこと
- 転倒や急変の即時検知は苦手
生活リズムが心配
いつも通り起きているか、長時間動きがないか
- 向く入り口
- センサー型の機器。ドアの開閉や電気の使用量で検知
- 分かること
- 生活リズムの異常。長時間の無反応
- 分からないこと
- 元気かどうか、話し相手がいるか
防犯・急な体調変化が心配
一人でいるときの事故や不審者への対応が不安
- 向く入り口
- 緊急通報装置や、地域の見守り訪問サービス
- 分かること
- ボタンを押したときの緊急事態
- 分からないこと
- 本人が押せない状態のとき、気づけない
困りごとの種類によって、最初に検討する入り口は変わります。組み合わせて使う家庭も多いです
3つは排他的ではなく、組み合わせて使う家庭が多いです。たとえば「会話がほしい」と「生活リズムも見たい」が両方あるなら、会話型とセンサー型を両方使う、という選び方もできます。それぞれの機器についてもう少し踏み込んだ違いは高齢者の見守りタブレット、どう選ぶ?で、カメラ型・センサー型・会話型を比較しています。
嫌がられにくい伝え方
見守りを検討していても、実際に導入する段階で親が拒否することは珍しくありません。ここでよくあるのが、「あなたのため」という伝え方です。本人からすると、監視されているように感じたり、年寄り扱いされたと受け取ったりしてしまいます。
伝え方を少し変えるだけで、受け止め方が変わることがあります。
- 主語を「自分」にする:「あなたが心配だから」ではなく、「離れているとどうしても不安になるから、自分が安心したい」という頼み方にする
- 本人に選ばせる:「これを入れて」ではなく、「こういう方法があるけど、どう思う?」と相談の形にする
- できないことも正直に話す:機器を過大に説明すると、後で「話が違う」と不信感につながります。何が分かって、何が分からないかを最初に伝えておくほうが、長く使ってもらえます
公的な相談先を、困る前に1つ持っておく
機器やサービスだけで解決しようとせず、公的な相談先を1つ知っておくと安心材料になります。市町村が設置している地域包括支援センターは、高齢者の生活に関する総合的な相談を受け付けている窓口で、離れて暮らす家族からの相談にも対応しています。担当は親の住所で決まるため、実家の住所を管轄するセンターを調べておいてください。
すでに「親が電話に出ない」といった急な不安を感じたことがある方は、親が電話に出ない。心配なときに確認する順番で、その場でどう動くかと、相談先の調べ方を詳しく整理しています。
小さく始めて、様子を見ながら調整する
ここまでの手順を踏むと、最初から完璧な仕組みを作ろうとしなくてよいことが分かると思います。大事なのは、最初の選択を正解にすることではなく、合わなければ変えられる形で始めることです。
BabuuTalkは、困りごとの種類でいうと「会話や気持ちが心配」に向く会話型の見守りです。実家のタブレットに毎朝キャラクターが声をかけ、その様子が家族のLINEに届きます。本人はタブレットを操作する必要がなく、家族から顔を見て話したいときも実家側で応答の操作はいりません(親がスマホもタブレットも使えなくても、テレビ電話はできる?)。
一方で、BabuuTalkは転倒や体調の急変を検知する機器ではなく、駆けつけや通報のサービスでもありません。できるのは、「今日も声が返ってきた」「今日は反応がなかった」という日々の様子を家族に届けるところまでです。防犯や急な体調変化への備えが必要な場合は、緊急通報装置やセンサー型の機器と組み合わせて考えてください。
今日、親に1つだけ聞いてみる
最後に、この記事を読み終えたあとにできることを1つに絞ります。
今日、親に電話をして「最近、困っていることある?」と聞いてみてください。 それだけで構いません。答えが「特にない」でも「実はちょっとね」でも、どちらも次に何をすべきかの手がかりになります。機器を選ぶのは、そのあとで十分間に合います。