親が一人で外出できなくなってきた。通院と買い物の足、どう探す?
通院や買い物に一人で行けなくなった親のために、介護保険の乗降介助、福祉タクシーの助成、福祉有償運送、総合事業の違いと、離れて暮らす家族の探し方を整理します。
目次
この記事の要点
- 足は、行き先ごとに探すと見つかりやすい
- 介護保険の乗降介助は運賃と別。助成は市で違う
- 最初の電話は、親の住む地域の包括支援センター
「最近、病院に行くのがしんどいらしい」「スーパーまでの坂道がつらくなってきた」。遠くの親の電話から、そんな話がこぼれたとき、すぐに思いつくのは自分が帰省して送ることです。ただ、毎週は続けられません。
この記事では、親が一人で外出しにくくなったとき、家族が探せる足の種類と、探し方の順番を整理します。先に結論です。「行き先ごとに、使える仕組みを探す」こと。そして最初の電話は、親が住む地域の地域包括支援センターにかけることです。
困りごとを分ける
「外出できない」とひとくくりにすると、探す先が決まりません。困っているのは、玄関から車までなのか、病院の中なのか、それとも駅やバス停までなのか。場面で、必要な助けが違います。
3つに分けて聞く
親に電話をするときは、「どこが一番つらい?」と聞いてみてください。答えは大きく3つに分かれます。
- 家から乗り物まで: 玄関の段差、坂道、バス停までの距離。乗り降りの介助や、家の前まで来てくれる車が向いています
- 乗り物の中: 一人でバスや電車に乗れない、降りる場所が不安。ドア・ツー・ドアの送迎が向いています
- 行った先: 病院の受付や会計、薬局での手続き。付き添いや手続きの手伝いが要ります
行き先ごとの頻度
次に、この1か月の行き先を聞きます。通院は決まった日に行くので、予約や調整がしやすい行き先です。買い物は回数が多いので、送迎より宅配のほうが向くこともあります。
足を探すとき、頻度の高い行き先ほど「家族の送迎以外」の手段が要ります。免許を返納したあとの考え方は親が免許を返納したあと、生活をどう支える?にもまとめています。
使える足は4種類
親の足になりうる仕組みは、大きく4つあります。どれが使えるかは、親の要介護度や住む市町村で変わるので、「全部を調べる」のではなく、条件に合うものから順に当たります。
介護保険の乗降介助
ヘルパーが乗り降りと受診を助ける
- 使う人
- 要介護の認定を受けた人
- 運賃
- 別にかかる場合が多い
市の福祉タクシー券
タクシー代の一部を市が助成する
- 使う人
- 市の条件を満たす人
- 確認
- 対象とタクシー会社
福祉有償運送
非営利の団体が会員を送迎する
- 使う人
- 一人で乗れない人
- 手続き
- 団体に会員登録
総合事業の支援
市町村が決める移動などの支援
- 使う人
- 要支援の人など
- 確認
- 市町村の窓口
使う人の条件は、市町村や事業者で違います。細かい条件は、窓口で確認してください
介護保険の乗降介助
厚生労働省の介護事業所検索のページでは、訪問介護の中に、通院などを目的とした乗車・移送・降車の介助サービスを提供する事業所もあると案内されています。すべての事業所が行うわけではない点が大事です。出典:厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索」訪問介護(ホームヘルプ)
使いたいときは、担当のケアマネジャーに「通院の乗り降りの介助を頼める事業所はありますか」と聞きます。ケアマネジャーがまだいない場合は、先に介護認定の申請が要ります。窓口と進め方は親の介護、最初の相談先は?遠方の家族が電話する前にをご覧ください。
市の福祉タクシー券
自治体には、タクシー代の一部を助成する制度があります。たとえば船橋市は、要支援2または要介護1〜5の認定を受けた人を対象に、協定を結んだタクシー会社を使ったときの運賃の半額を助成しています。要介護1・2までは年度の枚数に上限があり、利用できるのは協定会社に限られます。出典:船橋市「福祉タクシー乗車券(要介護者等)を交付します」
ただ、条件は市によって大きく違います。伊丹市では、在宅で要介護4または5の認定を受けた65歳以上の人などが対象で、月の枚数も決まっています。同じ「福祉タクシー」でも、親が使えるかどうかは住む市で決まります。出典:伊丹市「外出の支援(市バス特別乗車証・福祉タクシー利用券)」
福祉有償運送
介護タクシーが近くにない地域や、車いすは使わなくても一人では電車やバスに乗れない親には、福祉有償運送が選択肢になります。東京都福祉局の説明では、NPO法人や社会福祉法人などの非営利の法人が行うドア・ツー・ドアの有償の移送サービスです。介護保険の要介護・要支援の認定を受けた人などが対象で、事前に団体の会員になる必要があります。出典:東京都福祉局「福祉有償運送」
団体は地域ごとに違うので、親の住む市区町村に「福祉有償運送を行っている団体はありますか」と聞きます。複数の団体に登録することもできます。
総合事業の支援
もう1つは、市町村が行う介護予防・日常生活支援総合事業です。厚生労働省は、市町村が中心となり、住民など多様な主体が参画してサービスを充実させ、地域の支え合いの体制をつくるものと説明しています。要支援の人などが対象で、内容は市町村が地域に合わせて決めます。出典:厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業」
移動の支援が用意されている地域も、ない地域もあります。「親の地域で、通院や買い物の移動を助ける支援はありますか」と、窓口でそのまま聞くのが確実です。
地域包括支援センターへの電話
4つの仕組みを自分で調べて回ると、時間がかかります。親の住む地域の地域包括支援センターに電話すると、使えそうなものを一緒に整理してもらえます。介護認定を受けていない場合も相談できます。
電話で伝えること
最初の電話は、短くて構いません。次の4つを伝えれば、話が進みます。
- 誰の相談か: 親の名前、住所、年齢
- 困っていること: 「通院の足が不安」「買い物に行けなくなってきた」
- 介護の状況: 認定を受けているか、ケアマネジャーがいるか
- 家族のこと: 離れて暮らしていて、帰省できる時期
探す順番
迷ったら、図の順番で進めます。行き先を書く、窓口に電話する、使える制度を知る、一度試す、の4段階です。
買い物と外出の理由
通院の足が決まっても、買い物や人と会う外出が減ると、親の暮らしは少しずつ狭くなります。必要な移動と、楽しみの外出を、分けて考えます。
買い物は仕組みに任せる
毎週の買い物を家族の送迎にすると、続かなくなります。宅配や買い物の代行など、家族の予定に左右されない手段を1つ入れてください。食事の探し方は実家の食事が心配。宅配弁当や買い物代行、どう選ぶ?で整理しています。
楽しみを1つ残す
必要な外出だけで予定を埋めないことも大切です。親が好きだった集まりや店を1つ、足の確保の対象に入れておきます。通院だけで外に出る暮らしは、親にとって気持ちが重くなりがちです。
離れていてもできる関わり
足が決まったら、あとは予定を親に覚えていてもらう段階です。通院日の前日と当日の朝に、一言ずつ伝えるだけで、行き違いはかなり減ります。
BabuuTalk は、毎日決まった時間の声かけと、その応答が家族に通知される見守りです。LINE から書いた予定や伝言が、実家の端末の掲示板に出ます。「木曜の10時にタクシーが家の前に来ます」のような連絡を、電話以外の形でも届けられます。Android端末(タブレットや使っていないスマホ)があればアプリは無料で、続けて使うなら画面の大きいタブレットが見やすい、というのが目安です。
なお、親が「人の世話になりたくない」と言うときは、親が介護を拒否する。家族はどう向き合う?が参考になります。
今日、親に聞くこと
今日の電話では、「先月、病院やスーパーにはどうやって行った?」と聞いてみてください。行き先と、行き方、そして「大変だったところ」が聞ければ十分です。
そのあと、親の住む市区町村の地域包括支援センターに電話して、「親が一人で外出しにくくなってきました。通院と買い物で使える支援はありますか」と伝えます。次の帰省で、制度を1つ、親と一緒に試してみてください。