親が一人で外出できなくなってきた。通院と買い物の足、どう探す?

通院や買い物に一人で行けなくなった親のために、介護保険の乗降介助、福祉タクシーの助成、福祉有償運送、総合事業の違いと、離れて暮らす家族の探し方を整理します。

公開 読了 約6分 執筆 株式会社BabuuTalk

玄関で靴を履く高齢の母親と、そばで見守る家族
目次

この記事の要点

  • 足は、行き先ごとに探すと見つかりやすい
  • 介護保険の乗降介助は運賃と別。助成は市で違う
  • 最初の電話は、親の住む地域の包括支援センター

「最近、病院に行くのがしんどいらしい」「スーパーまでの坂道がつらくなってきた」。遠くの親の電話から、そんな話がこぼれたとき、すぐに思いつくのは自分が帰省して送ることです。ただ、毎週は続けられません。

この記事では、親が一人で外出しにくくなったとき、家族が探せる足の種類と、探し方の順番を整理します。先に結論です。「行き先ごとに、使える仕組みを探す」こと。そして最初の電話は、親が住む地域の地域包括支援センターにかけることです。

手元のノートに親の通院の曜日を書き留めながら、電話をかける娘
まず、親が月にどこへ行くのかを書き出します。電話の前に、この一覧があると話が早く進みます

困りごとを分ける

「外出できない」とひとくくりにすると、探す先が決まりません。困っているのは、玄関から車までなのか、病院の中なのか、それとも駅やバス停までなのか。場面で、必要な助けが違います。

3つに分けて聞く

親に電話をするときは、「どこが一番つらい?」と聞いてみてください。答えは大きく3つに分かれます。

  • 家から乗り物まで: 玄関の段差、坂道、バス停までの距離。乗り降りの介助や、家の前まで来てくれる車が向いています
  • 乗り物の中: 一人でバスや電車に乗れない、降りる場所が不安。ドア・ツー・ドアの送迎が向いています
  • 行った先: 病院の受付や会計、薬局での手続き。付き添いや手続きの手伝いが要ります

行き先ごとの頻度

次に、この1か月の行き先を聞きます。通院は決まった日に行くので、予約や調整がしやすい行き先です。買い物は回数が多いので、送迎より宅配のほうが向くこともあります。

足を探すとき、頻度の高い行き先ほど「家族の送迎以外」の手段が要ります。免許を返納したあとの考え方は親が免許を返納したあと、生活をどう支える?にもまとめています。

使える足は4種類

親の足になりうる仕組みは、大きく4つあります。どれが使えるかは、親の要介護度や住む市町村で変わるので、「全部を調べる」のではなく、条件に合うものから順に当たります。

介護保険の乗降介助

ヘルパーが乗り降りと受診を助ける

使う人
要介護の認定を受けた人
運賃
別にかかる場合が多い

市の福祉タクシー券

タクシー代の一部を市が助成する

使う人
市の条件を満たす人
確認
対象とタクシー会社

福祉有償運送

非営利の団体が会員を送迎する

使う人
一人で乗れない人
手続き
団体に会員登録

総合事業の支援

市町村が決める移動などの支援

使う人
要支援の人など
確認
市町村の窓口

使う人の条件は、市町村や事業者で違います。細かい条件は、窓口で確認してください

介護保険の乗降介助

厚生労働省の介護事業所検索のページでは、訪問介護の中に、通院などを目的とした乗車・移送・降車の介助サービスを提供する事業所もあると案内されています。すべての事業所が行うわけではない点が大事です。出典:厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索」訪問介護(ホームヘルプ)

使いたいときは、担当のケアマネジャーに「通院の乗り降りの介助を頼める事業所はありますか」と聞きます。ケアマネジャーがまだいない場合は、先に介護認定の申請が要ります。窓口と進め方は親の介護、最初の相談先は?遠方の家族が電話する前にをご覧ください。

家の前に停まった福祉車両に、運転手の手を借りて乗り込む高齢の母親
家の前から病院の入口まで。乗り降りを手伝ってもらえる車があると、一人でも通院しやすくなります

市の福祉タクシー券

自治体には、タクシー代の一部を助成する制度があります。たとえば船橋市は、要支援2または要介護1〜5の認定を受けた人を対象に、協定を結んだタクシー会社を使ったときの運賃の半額を助成しています。要介護1・2までは年度の枚数に上限があり、利用できるのは協定会社に限られます。出典:船橋市「福祉タクシー乗車券(要介護者等)を交付します」

ただ、条件は市によって大きく違います。伊丹市では、在宅で要介護4または5の認定を受けた65歳以上の人などが対象で、月の枚数も決まっています。同じ「福祉タクシー」でも、親が使えるかどうかは住む市で決まります。出典:伊丹市「外出の支援(市バス特別乗車証・福祉タクシー利用券)」

福祉有償運送

介護タクシーが近くにない地域や、車いすは使わなくても一人では電車やバスに乗れない親には、福祉有償運送が選択肢になります。東京都福祉局の説明では、NPO法人や社会福祉法人などの非営利の法人が行うドア・ツー・ドアの有償の移送サービスです。介護保険の要介護・要支援の認定を受けた人などが対象で、事前に団体の会員になる必要があります。出典:東京都福祉局「福祉有償運送」

団体は地域ごとに違うので、親の住む市区町村に「福祉有償運送を行っている団体はありますか」と聞きます。複数の団体に登録することもできます。

総合事業の支援

もう1つは、市町村が行う介護予防・日常生活支援総合事業です。厚生労働省は、市町村が中心となり、住民など多様な主体が参画してサービスを充実させ、地域の支え合いの体制をつくるものと説明しています。要支援の人などが対象で、内容は市町村が地域に合わせて決めます。出典:厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業」

移動の支援が用意されている地域も、ない地域もあります。「親の地域で、通院や買い物の移動を助ける支援はありますか」と、窓口でそのまま聞くのが確実です。

地域包括支援センターへの電話

4つの仕組みを自分で調べて回ると、時間がかかります。親の住む地域の地域包括支援センターに電話すると、使えそうなものを一緒に整理してもらえます。介護認定を受けていない場合も相談できます。

窓口で職員と書類を見ながら相談する、高齢の母親と娘
帰省のときに一緒に窓口へ行くと、親の状態を職員に直接見てもらえます

電話で伝えること

最初の電話は、短くて構いません。次の4つを伝えれば、話が進みます。

  • 誰の相談か: 親の名前、住所、年齢
  • 困っていること: 「通院の足が不安」「買い物に行けなくなってきた」
  • 介護の状況: 認定を受けているか、ケアマネジャーがいるか
  • 家族のこと: 離れて暮らしていて、帰省できる時期

探す順番

迷ったら、図の順番で進めます。行き先を書く、窓口に電話する、使える制度を知る、一度試す、の4段階です。

移動の手段を探す順番の図解。行き先を書く、地域の窓口へ、使える制度を知る、1回試すの4段階
制度を調べる前に「行き先を書く」。最後は、付き添える日に1回、実際に試します

買い物と外出の理由

通院の足が決まっても、買い物や人と会う外出が減ると、親の暮らしは少しずつ狭くなります。必要な移動と、楽しみの外出を、分けて考えます。

買い物は仕組みに任せる

毎週の買い物を家族の送迎にすると、続かなくなります。宅配や買い物の代行など、家族の予定に左右されない手段を1つ入れてください。食事の探し方は実家の食事が心配。宅配弁当や買い物代行、どう選ぶ?で整理しています。

楽しみを1つ残す

必要な外出だけで予定を埋めないことも大切です。親が好きだった集まりや店を1つ、足の確保の対象に入れておきます。通院だけで外に出る暮らしは、親にとって気持ちが重くなりがちです。

離れていてもできる関わり

足が決まったら、あとは予定を親に覚えていてもらう段階です。通院日の前日と当日の朝に、一言ずつ伝えるだけで、行き違いはかなり減ります。

BabuuTalkの端末の「今日の予定」画面。お薬やデイサービスの時刻と「わかった」「呼ぶ」ボタンが大きく表示されている
実家のタブレットの「今日の予定」画面。通院やお迎えの時刻を家族が入れておくと、当日の朝に親の目に入ります

BabuuTalk は、毎日決まった時間の声かけと、その応答が家族に通知される見守りです。LINE から書いた予定や伝言が、実家の端末の掲示板に出ます。「木曜の10時にタクシーが家の前に来ます」のような連絡を、電話以外の形でも届けられます。Android端末(タブレットや使っていないスマホ)があればアプリは無料で、続けて使うなら画面の大きいタブレットが見やすい、というのが目安です。

なお、親が「人の世話になりたくない」と言うときは、親が介護を拒否する。家族はどう向き合う?が参考になります。

今日、親に聞くこと

今日の電話では、「先月、病院やスーパーにはどうやって行った?」と聞いてみてください。行き先と、行き方、そして「大変だったところ」が聞ければ十分です。

そのあと、親の住む市区町村の地域包括支援センターに電話して、「親が一人で外出しにくくなってきました。通院と買い物で使える支援はありますか」と伝えます。次の帰省で、制度を1つ、親と一緒に試してみてください。

FAQよくある質問

介護タクシーと福祉タクシーは、同じものですか?
呼び方が似ていますが、役割は別に考えると整理しやすくなります。介護保険のサービスにあたるのは、乗り降りや移動の介助の部分です。自治体の福祉タクシー助成は、タクシーの運賃の一部を市が負担する仕組みです。同じ事業者が両方に対応していることもあるので、予約のときに「介護保険の乗降介助を使いたい」「市のタクシー券を使いたい」と、どちらの話かを伝えてください。
市のタクシー券は、誰でも使えますか?
市によって対象が違います。船橋市は要支援2から要介護5の認定を受けた人が対象ですが、伊丹市は要介護4・5の在宅の人などに限っています。どちらも市の公式ページで条件が案内されています。親の住む市の名前と「福祉タクシー」で調べるか、地域包括支援センターに聞くのが近道です。
要介護認定を受けていなくても、使える移動の支援はありますか?
あります。市町村が行う介護予防・日常生活支援総合事業は、要支援の人などを対象に、市町村が地域に合わせて内容を決めます。認定を受けていない場合も、まず地域包括支援センターに相談すると、基本チェックリストなどで使える支援を案内してもらえます。
離れて暮らしていて、予約や手続きの付き添いができません。どうすればいいですか?
最初の電話は、家族が親の代わりにかけて構いません。親の名前、住所、困っている行き先を伝え、あとは窓口の指示に従います。申請書や口座の記入など本人の署名が要る場面は、帰省に合わせてまとめると進みます。電話の前に、親の保険証の場所と、かかりつけ病院の名前を聞いておくと話が早くなります。
親が「人の世話になりたくない」と、サービスを使いたがりません。
「一度、試すだけ」と頼んでみてください。家族が送迎を続けられなくなる前に、一度でも乗っておくと、必要になったときの抵抗が減ります。使うかどうかは、そのあと親が決めて構いません。
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