親のスマホに不審なSMSが届く。家族が先にしておくことと、届いた後の動き
親のスマホに届く宅配・銀行・携帯会社などをかたるSMSやメール。届く前の設定、届いたときの3つの動き、押してしまったときの順番を、総務省・国民生活センターなどの案内で整理します。
目次
この記事の要点
- 偽SMSは見た目では見分けにくい
- 届く前の設定と、届いた後の動きを分ける
- 見せやすい空気を、家族が先に作る
宅配便の不在通知、カード会社の利用確認、携帯会社の料金未納の知らせ。親のスマホに届くそうした文面を見て、「これ、本物かな」と電話がかかってきたことはないでしょうか。離れて暮らしていると、届いた画面を一緒に見ることもできません。
この記事では、親のスマホに届く不審なSMSやメールについて、届く前にできる設定、届いたときの動き、押してしまったときの順番を整理します。結論から言うと、偽物かどうかを親に見分けさせるのではなく、「押さずに、公式から確かめて、家族に見せる」という3つの動きを先に決めておくのが、いちばん現実的です。
偽メッセージの見え方
親が戸惑う最大の理由は、偽物がよくできていて、見た目では区別がつきにくいことです。警察庁も、送信元の名称やアドレスは簡単に偽装でき、表示だけで真偽を判断するのは困難としています。出典:警察庁「フィッシング対策」。
だから「怪しい日本語に気をつけて」と伝えても、あまり役に立ちません。文面が自然で、ちょうど荷物を待っていたときに届くこともあります。判断の材料を増やすより、判断しなくてよい動きを用意するほうが、親にも家族にも負担が少なくなります。
もう一つ知っておきたいのは、焦らせる言い方が多いことです。「本人確認が必要です」「利用が制限されます」のように、急いで操作させようとする文面が目立つと、警察庁も説明しています。
装われやすい4つの顔
国民生活センターは、通販サイトやフリマアプリ、クレジットカード会社や銀行、宅配便事業者、携帯電話会社、官公庁をかたる偽のSMSやメールに警戒を呼びかけています。出典:国民生活センター「偽SMS・メールに警戒を」。親の暮らしに近い顔を、家族の側で4つに絞って頭に入れておくと、話が早くなります。
宅配便
不在通知や再配達の依頼
- 言い方
- 荷物のお知らせ
- 親の状況
- 荷物を待っている
カード・銀行
利用確認や取引の停止
- 言い方
- 不正利用のおそれ
- 親の状況
- 口座を守りたい
携帯会社
料金未納や契約の停止
- 言い方
- 利用停止の予告
- 親の状況
- 通信を失いたくない
官公庁
税金や年金、還付の案内
- 言い方
- 期限を過ぎている
- 親の状況
- 手続きに自信がない
どれも、親が「放っておけない」と感じる立場をかたります
総務省も、銀行を装う「セキュリティ更新」、宅配業者を装う「再配達のご依頼」、官公庁を装う「税金還付」などの例を挙げています。出典:総務省「メール・SMSの詐欺対策」。親に伝えるときは、この4つの名前を挙げて「この名前で急がせてきたら、いったん止まろう」と言うだけで十分です。
届く前に減らす設定
偽のSMSは、届かなければ悩む必要もありません。総務省は、携帯電話会社などが提供する迷惑メール・SMSのブロックサービスを使うことを対策の一つに挙げています。まず、実家の契約会社で、その機能が使える状態かを確かめます。
たとえばauの「迷惑SMSブロック」は、迷惑SMSの疑いがあるものを自動で判定して届かないようにする機能で、無料で、申し込みなしに自動で適用されると案内されています。ただし、すべての不審なSMSを防げるわけではなく、誤って規制される場合もあります。出典:au「迷惑SMSブロック」。
契約会社のマイページを見る
名前も設定の場所も、会社によって違います。家族が親の契約会社と、マイページにログインできる人を確認しておきます。親が自分で無効にした覚えがなくても、状態を一度見ておくと安心です。
スマホ本体の設定も
スマホ本体にも、知らない送信者のメッセージを別の場所に分けて表示する設定があります。名前は機種ごとに違うので、設定画面の検索欄に「迷惑」「フィルタ」と入れて探します。帰省中に、親と並んで一緒に操作するのが確実です。
設定は「減らす」もの
ここで大切なのは、設定は減らすものであって、ゼロにするものではないという前提です。ブロックをすり抜けて届く文面は残ります。だから、次の「届いたときの動き」を、設定とセットで決めておきます。
届いたときの3つの動き
見分ける力ではなく、動きの順番を親と共有します。難しい用語は使いません。次の3つだけを、紙に書いて渡してもよいくらいです。
-
押さない
SMSのURLも、書かれた電話番号も触りません。警察庁は、リンクは安易にクリックしないよう呼びかけています。
-
公式から確かめる
気になるなら、日ごろ使っている公式アプリや、登録しておいた入口から、自分で確かめます。メッセージに書かれた入口は使いません。
-
家族に見せる
画面の写真を撮って、家族に送ります。本物かどうかは、見た家族が一緒に確かめます。
総務省は、「本人確認が必要です」「荷物が届いています」のような心当たりのないメッセージには注意すること、記載の電話番号に安易に連絡しないことを案内しています。国民生活センターも、日ごろから公式のブックマークや公式アプリから利用する習慣をすすめています。
「登録した入口」を家族で用意する
宅配便やカード会社、銀行について、親が使っている公式アプリやブックマークの場所を家族が一緒に確認しておきます。いざというときに「どこから開けばいいか」が分からないと、SMSのURLを頼ってしまうためです。
写真を撮るのが難しい親には
スクリーンショットや写真の撮り方が分からない親もいます。その場合は「画面を見たまま、紙に写してもいいし、電話で読み上げるだけでもいい」と伝えます。大事なのは形式ではなく、押す前に家族に見せるという順番です。
押してしまったとき、順番に動く
押してしまっても、すぐに被害が決まるわけではありません。国民生活センターは、偽サイトにアクセスしても、個人情報を入力しなければ被害は防げるとしています。まず、押したあとに何をしたかを、落ち着いて聞きます。
家族の側の聞き方で、その後の動きが変わります。「なんで押したの」と責めると、次から隠すようになります。「押したあと、何か入力した?」と、状況だけを聞きます。
IDやパスワード、カード番号などを入力してしまったときの動きは、国民生活センターが次のように案内しています。
- 入力したIDやパスワードをすぐに変更する: 同じものを使い回している他のサービスも変えます
- カード会社などの関係先に連絡する: 入力したカード番号が使われているかを確認します
- 地域の消費生活センターに相談する: 消費者庁「消費者ホットライン」の「188」は、住んでいる地域の相談窓口につながる全国共通の番号です
お金を送ってしまった、電話をかけて相手に指示された、というときは、被害の連絡先と順番が変わります。親が詐欺の電話を受けたあとの動きは、親が詐欺被害に遭ったかも。家族が最初にする連絡の順番に整理しています。
親が家族に見せやすくする
ここまでの動きは、親が家族に見せてくれることが前提です。いちばん難しいのは、実はここだと思います。「こんなことで聞いたら迷惑かな」「だまされた自分が恥ずかしい」と感じると、親は黙ってしまいます。
見せやすくするために、家族の側でできることは3つあります。
- 家族のところにも届く話をする: 「私のスマホにも毎週届くよ」と先に伝えると、親は自分だけの問題だと感じなくなります
- 見せたことを、いつも喜ぶ: 「教えてくれてありがとう」と返します。本物でも偽物でも同じです
- 頻度を決めて聞く: 帰省や電話のたびに「最近、変な通知は来てない?」と一言聞きます
電話での詐欺への備えは、親への詐欺電話が心配。今日から家族ができる備えと、実家の固定電話に迷惑電話が多い。何から対策する?にまとめています。電話もSMSも、親が一人で抱え込まないための土台は同じです。
離れていても気づく仕組み
家族に見せる流れは、「見せたい」と思った親が、思い立ったその場で伝えられる経路があって初めて動きます。スマホの操作に自信がない親にとっては、ここがいちばんのつまずきどころです。スマホの使い方そのものに不安があるときは、スマホが使えない親との連絡手段、どう選ぶ?も参考になります。
BabuuTalkは、実家に置いたタブレットに、家族がLINEから書いた伝言が掲示板として大きく表示される仕組みです。「怪しい通知が来たら、押さずに写真で送ってね」「荷物の連絡は、アプリから確かめようね」と一言送っておけば、親は画面を見るたびに思い出せます。SMSの怪しさを判定するのは、携帯会社の機能やセキュリティの役割で、BabuuTalkは家族の言葉を、親の目に入る場所に届ける役目です。
Android端末(タブレットや使っていないスマホ)があればアプリは無料で、続けて使うならタブレットが見やすいです。詳しくはトップページをご覧ください。
今週、親に聞くこと
最後に、今週できることを3つ挙げます。
- 親に電話して、「最近、変なSMSやメールは来てない?」と聞く。 来ていたら、責めずに、どんな文面だったかを聞きます
- 親の契約会社と、迷惑SMSを減らす機能の状態を確かめる。 次の帰省で、マイページを親と一緒に見る約束をします
- 「押さない・公式から確かめる・家族に見せる」を、親に伝える。 紙に書いて、電話のそばに貼ってもらうのもよい方法です
偽のメッセージを完全に防ぐことはできません。それでも、届いたときの動きが決まっていれば、親が一人で慌てることは減らせます。