給湯器の「無料点検」を親が受けていた。家族が確認すること

「無料で給湯器を点検します」と訪れた業者に、高齢の親が交換を勧められていたら。国民生活センターの注意喚起をもとに、手口、玄関での断り方、クーリング・オフ、家族の動き方を整理します。

公開 読了 約6分 執筆 株式会社BabuuTalk

玄関で高齢の母親がインターホンで応対し、後ろで家族が見守っている場面
目次

この記事の要点

  • 点検を口実に不安をあおり、交換を急がせる商法が高齢者に多い
  • 玄関で断り、その場で決めず、契約先へ自分から確認するのが基本
  • 契約したあとも、書面を受け取って8日以内ならクーリング・オフできる

実家の給湯器のところに、見慣れない業者の名刺や、契約書の控えが置いてあった。親に聞くと「無料で点検してくれて、もう寿命だと言われた」と話す。そんな場面に向けて書きます。

先に結論です。点検を口実にした給湯器の商法は、「玄関で断る」「その場で決めない」「契約先に自分から確認する」の3つで、ほとんど入り口を止められます。 すでに契約してしまった場合も、書面を受け取って8日以内なら、クーリング・オフができることがあります。この記事では、手口の流れ、玄関でのやり取り、契約後の動き、家族が離れていてもできる備えを順に整理します。

居間のテーブルで契約書らしき書類を前に考え込む高齢の父親と、後ろから様子を見守る娘
書類を見つけたら、責めずに、まず一緒に内容を見るところから始めます

給湯器の点検商法とは

「点検商法」とは、点検を名目に家へ上がり、不安をあおって高額な商品や工事を契約させる商法です。国民生活センターは、給湯器をめぐる相談が2023年度に急増したと注意を呼びかけています。

2022年度に561件だった相談は、2023年度は12月末までの登録分だけで1,099件になりました。同じ時点で比べた2022年度の346件の約3倍です。契約した本人の7割以上は70歳以上でした(出典:国民生活センター「給湯器の点検商法」(2024年2月))。

手口には共通の流れがあります。電話や訪問で突然「点検します」と持ちかけ、点検のあとに「このままでは壊れる」と不安にさせて交換を勧めます。さらに「今日契約すれば割引になる」と決断を急がせます。

名乗る相手にも注意

国民生活センターによると、「自治体から委託を受けた」「契約中のガス会社から依頼された」と、身分を偽るケースもあります。名乗りが立派だから本物とは言えません。ここが、親が「ちゃんとした会社だと思った」と話す理由になりがちです。

玄関で断る・確かめる

点検の売り込みは、最初の玄関先がいちばん止めやすい場面です。国民生活センターは、点検を持ちかける業者に安易に点検させないこと、訪問されたらインターホン越しに断ることを勧めています。

ドアを開けずに「結構です」と言うだけで構いません。千葉県の消費者向けの案内も、「無料」と言われると頼みたくなるが、点検させると不安をあおられたり契約を急かされたりするので注意するよう呼びかけています(出典:千葉県「点検商法」の相談事例)。

本物の点検かを確かめる

点検が本当に必要かもしれないと感じたら、相手の名刺の番号にはかけません。契約書や検針票に載っている、自分が知っている番号に自分からかけて、点検の予定があるかを聞きます。千葉県も、点検が必要なときは自分から契約先(ガス・電力会社、メーカー、販売会社など)に連絡するよう案内しています。

点検に来たと言われたときの4つの動きを示す図解。玄関で断る、その場で決めない、契約先に確認、188に相談の順に矢印でつないでいる
どの段階でも、親ひとりで判断しなくてよい流れにしておきます

「その場で決めない」の中身

点検のあとの勧誘で、契約書に署名させられてしまうことが被害の分かれ目になります。国民生活センターは、その場で契約せず十分に比較・検討することを勧めています。

「今日だけ割引」と言われても、断って構いません。決めるのが明日になって困る話ではありません。 給湯器が壊れかけているように見えるなら、なおさら、契約先やメーカー、設置した販売店に自分から連絡して、状態を見てもらいます。

迷ったら「動きを一つ遅らせる」と考えます
場面 避けたい動きおすすめの動き
点検の申し出 その場で上げる玄関で断る
交換の勧め 今日決める契約先に確認
書類 言われるまま署名控えを預かる

契約したあとの動き

すでに契約してしまった場合でも、できることがあります。訪問販売には、契約をやめられるクーリング・オフという制度があります。

消費者庁の特定商取引法ガイドでは、法律で定められた書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、書面または電子メールなどで申し込みの撤回や契約の解除ができるとされています。事業者が事実と違うことを告げたり威圧したりして、行使できなかった場合は、8日を過ぎても可能です(出典:消費者庁「訪問販売」特定商取引法ガイド)。

家族がまずすること

  1. 書面の受け取り日を確かめる

    契約書や領収書を探し、親が書面を受け取った日を確認します。見つからなければ、そのことも相談先に伝えます。

  2. 188に電話する

    消費者ホットライン「188」は、最寄りの消費生活センターにつながります。親の住所の地域の窓口を案内してもらえます。

  3. 通知の記録を残す

    通知は書面か電子メールなどで行います。書面は特定記録郵便や書留、メールは送信したものの保存など、控えが残る形にします。

8日を過ぎていても、あきらめる必要はありません。千葉県の案内でも、期間を過ぎた場合はまず消費者センターに相談するよう書かれています。杉並区の案内によると、本人だけでなく、家族やヘルパー、ケアマネジャーからの相談も受け付けています。

親に話すときの順番

一番むずかしいのは、親への切り出し方かもしれません。だまされたと感じると、恥ずかしくて誰にも言わない人が少なくありません。そのため、気づいたことを責める形にしないのが先です。

「テレビで給湯器の点検の話をやっていて、気になって電話したよ」と、ニュースの話として始めます。親が点検を受けた話を出したら、「契約書を一緒に見せて」と頼みます。確認する相手は親ではなく、書類と業者です。

実家の台所の壁に、母親と娘が一緒に連絡先のメモを貼っている場面
帰省のときに、契約先の連絡先を台所の壁に貼る。それだけで次の確認が早くなります

離れていてもできる備え

電話や訪問への備えは、起きてからより、起きる前のほうが取りやすいです。次のことを、帰省や電話のときに決めておきます。

  • 契約先の連絡先メモ:ガス会社、給湯器のメーカー、設置した販売店の番号を、台所や玄関の目につくところに貼る
  • 断るひとこと:「家族に相談してからにします」と、玄関で言うと決める
  • 相談先の番号:188と、実家の自治体の消費生活センターの番号を、電話のそばに置く
  • すぐ伝える約束:訪問や電話があったら、契約の前に、家族に一言連絡する

電話で届く詐欺については、親への詐欺電話が心配。今日から家族ができる備えにまとめています。実家の自治体にどんな見守りがあるかは、自治体の高齢者見守り事業、実家にもある?調べ方で調べ方を紹介しています。

BabuuTalkで伝える

BabuuTalkは、実家に置いたタブレットに毎日声をかけ、家族がLINEから送った一言を画面に「お知らせ」として届けるサービスです。Android端末(タブレットや使っていないスマホ)があればアプリは無料で、続けて使うならタブレットが見やすくなります。

BabuuTalkのタブレット画面。家族からの伝言が「お知らせ」として大きく表示され、下に「わかった」ボタンがある
実家のタブレットの画面。「訪問や電話があったら、契約の前に連絡してね」といった一言も、この形で届きます

この記事の「契約の前に家族に一言連絡する」という約束は、毎日の会話の中に置いておくと続きやすくなります。契約や返金の判断は、消費生活センターなどの窓口が専門です。BabuuTalkは、その前にある「いつもと違うことを話しやすい関係」を保つ役割です。

今日、親に聞くこと

今日の電話で、一つだけ聞いてください。**「最近、給湯器や屋根の点検に来た人はいた?」**です。いたと言われたら、責めずに、契約書や名刺の有無を聞きます。

いなければ、契約先の連絡先メモを一緒に作る日を、次の帰省や電話の予定に入れます。すでに契約が見つかったときや迷ったときは、消費者ホットライン「188」に電話してください。

FAQよくある質問

親がすでに給湯器の交換を契約していたら、どうすればいいですか?
まず契約書面を探し、受け取った日を確認してください。訪問販売なら、書面を受け取った日から8日以内はクーリング・オフができる場合があります。日数に自信がなくても、消費者ホットライン「188」に電話すれば、最寄りの消費生活センターにつながります。
本物のガス会社や給湯器メーカーの点検と、見分ける方法はありますか?
相手が名乗った会社の名前や、渡された名刺の電話番号ではなく、契約書や検針票に載っている番号に自分からかけて、点検の予定があるかを確認します。予定が無ければ、その訪問はお断りして構いません。
給湯器が本当に古くなっているかもしれません。点検はどう頼めばいいですか?
点検が必要なときは、契約しているガス会社、給湯器のメーカー、設置した販売店など、自分で連絡先を調べた相手に頼みます。相見積もりを取ると、その場の説明が妥当かを比べられます。
親が恥ずかしがって、契約したことを話してくれません。
責めずに「同じ話を聞いて、うちの親も心配になった」と、ニュースや他の家庭の話として切り出すと話しやすくなります。契約書や領収書を一緒に見ながら、相談先に一緒に電話する形が負担になりません。
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