親が入院、遠方で付き添えない。家族が先にすることと病院への伝え方

親が急に入院して、すぐには行けないとき。病院が家族に頼むことの中身と、病院の窓口への電話、持ち物の手配、退院後の相談までを、厚生労働省の資料をもとに整理します。

公開 読了 約6分 執筆 株式会社BabuuTalk

夕方の台所で、娘が手帳を開いて病院に電話している
目次

この記事の要点

  • まず病院の入退院支援の窓口に電話する
  • 病院が家族に頼むのは連絡先・物品・費用・退院
  • 保証人がいないだけで入院は断れない

親が急に入院した、と実家の近所の人や病院から連絡が来る。でも、仕事もあるし、実家まで電車で数時間。すぐには行けない。この記事は、そんなときに遠方の家族が「何を、誰に、どの順番で」やればいいかを整理します。

結論から言うと、最初にやるのは入院先の病院の窓口に電話して、家族として連絡を取れる人を一本化することです。病院が家族に頼みたいのは、緊急の連絡先、入院中の物品、入院費、退院の相談など、大半が電話や手配でできることです。付き添えないことを責める必要はありません。なお、この記事は2026年10月時点の情報で、医療の判断は書いていません。病気の見通しや治療の方針は、病院の説明を直接聞いてください。

病院の受付で、看護師が高齢の女性に書類を見せながら説明している
病院の窓口では、本人だけでなく家族との連絡のとり方も確認されます

病院の窓口に電話する

入院が決まったら、まず病院の代表番号に電話します。「入院している○○の子どもですが、家族の窓口になる部署を教えてください」と言えば足ります。多くの病院には、入院前から退院後までを支える窓口があり、名前は病院ごとに違います。

  • 入退院支援室・患者支援センター: 入院から退院までの流れを案内する窓口です
  • 医療相談室・地域連携室: 医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)が、退院後の暮らしの相談を受けます
  • 病棟の看護師: 日々の様子や面会の決まりを聞けます

最初の電話では、次の4つを聞くと、その後の動きが見えます。

最初の電話で聞いておくと、そのあとの連絡が楽になります
聞くこと 理由
家族の窓口はどこか 毎回同じ人と話せるため
連絡がつく時間帯 仕事の合間に折り返すため
必要な書類と物品 送る物を一度で揃えるため
面会と説明の方法 遠方でも説明を聞くため

連絡先は、家族の中で誰か1人に絞って病院に伝えます。きょうだいが複数いるなら、決めた人の番号を病院へ伝え、ほかの人には日付つきで共有します。決め方は介護が始まる前に、家族で決めておくことでも触れています。

遠方の家族が入院の連絡を受けてからの4つの動きの図解。病院に電話、連絡先を渡す、物品を手配、退院を相談
連絡を受けてからの動きは、この4つが基本です

病院が家族に頼むこと

病院は、家族や身元保証人と呼ばれる人に、いくつかの役割を期待していることがあります。厚生労働省「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」の概要では、医療機関が求めている役割として、緊急の連絡先、入院計画書、入院中に必要な物品の準備、入院費、退院支援などが挙げられています。

遠方の家族でも、この大半は電話や書面、手配で応えられます。

どれも、病院の窓口に聞けば進め方が分かります
病院が求める役割 遠方からできること
緊急の連絡先 つながる番号を1つ決める
入院計画書 電話や書面で説明を受ける
入院中の物品 病院の案内を見て送る
入院費など 支払い方法を窓口で聞く
退院支援 相談室を通して早めに話す

手術などの同意はどうなる

「家族が行かないと、手術の同意ができないのでは」と心配する人は多くいます。同じ概要には、医療行為の同意については本人の意思がきわめて大切で、身元保証人のような第三者に同意の権限はないと考えられる、と書かれています。

本人が決められないときは、病院の医療・ケアチームが家族と話し合いながら、本人にとって何が最善かを考えて進めるとされています。電話で説明を受けられるか、同席が必要かは病院ごとに違うので、窓口で聞いてください。

保証人がいなくても入院できる

身元保証人がいないと入院できないのでは、という不安も、よく聞きます。同じ資料によると、消費者委員会の建議を受けて、病院や介護保険施設が身元保証人等がいないことのみを理由に入院・入所を拒むことのないよう、措置を講ずることが求められています。

保証人の署名を求められて困ったときは、断られたと受け止めず、「保証人が立てられない事情があるが、病院の役割をほかの方法で果たしたい」と窓口に相談してください。連絡先を家族が引き受ける、費用の支払い方法を決める、といった形で調整できる場合があります。

持ち物は病院の案内で

入院に必要な物は、病院が入院案内にまとめていることがほとんどです。タオル、下着、洗面用具、履き物などは、病院によって決まりがあります。自分の思い込みで多めに送らず、まず病院の案内に沿って揃えます。

遠方でいちばん困るのは、「何がどこにあるか」が分からないことです。保険証、診察券、お薬手帳、眼鏡、入れ歯などの置き場所は、元気なうちに電話で聞いておくと、入院のときに慌てません。親が実家にいるあいだに、「いざというとき、保険証はどこ?」と聞いておくだけでも違います。

息子がリビングで手帳とノートパソコンを使い、入院の持ち物リストを書いている
持ち物の一覧を作っておくと、電話の説明も聞きやすくなります

荷物を送る場合は、病院に送ってよいかを先に確認します。院内の売店で買える物や、病院が案内する入院セットなどの方法があるかも、窓口で聞けます。

退院後の暮らしを早めに相談

入院したら、退院後のことは早めに病院の窓口に伝えます。入院が短期でも、「家に戻ったとき、一人で暮らせるか」は家族の心配の中心になるからです。退院の見通しが立ってから動くと、家に戻る準備が間に合わないことがあります。

窓口の医療ソーシャルワーカーに、親が一人暮らしであること、遠方に住む家族がいること、退院後に不安があることを伝えます。介護保険のサービスが必要そうなら、要支援と要介護、何が違う?申請までの流れも読んでみてください。

相談室で、女性の職員が高齢の女性と家族にパンフレットを見せながら説明している
退院後の暮らしは、入院中から相談室で話し始められます

実家の近くで相談できる窓口として、地域包括支援センターもあります。厚生労働省「地域包括ケアシステム」によると、地域包括支援センターは市町村が設置する、高齢者の総合相談を受ける中核的な機関で、全国に5,487か所(令和7年4月末時点)あります。使い方は親の介護、最初の相談先は?で詳しく書いています。

退院直後に帰省して手続きや付き添いをしたいときは、会社の休みの使い方も確認しておきます。遠距離介護の帰省、会社の休みはどこまで使える?にまとめました。

親の判断が難しくなったら

入院をきっかけに、親が書類を読んだり、お金の支払いを手配したりするのが難しくなることがあります。そうしたときのために、判断能力が十分でない人の福祉サービスの利用や日常のお金の管理を支える仕組みがあります。

全国社会福祉協議会「日常生活自立支援事業の概要と支援の現状」によると、日常生活自立支援事業は、福祉サービスの利用の手続きや、年金の受け取り、医療費の支払いなどの日常的なお金の管理を、定期的な訪問で支える事業です。認知症の診断や障害者手帳は条件ではありませんが、契約の内容を判断できる力が必要です。窓口は市区町村の社会福祉協議会です。

民間の身元保証サービスを使う家族もいます。先の厚生労働省の概要には、事業者の経営破綻でサービスが受けられず、預けたお金も返ってこない事態が起きたと書かれています。契約の前に、病院の窓口か地域包括支援センターに、使う前に何を確認すればよいかを聞いてください。

退院後の毎日に

退院したあとの数週間は、親の体力も生活のリズムも変わりやすい時期です。電話に出ない日が続いても、遠方からは様子が分かりません。そこで、退院後の連絡を「家族が思い出して電話する」形にせず、毎日決まった形で届く仕組みにしておくと、気づきやすくなります。

BabuuTalkは、実家に置いたタブレットが毎日声をかけ、親の応答を家族に知らせる見守りです。Android端末(タブレットや使っていないスマホ)があればアプリは無料で、続けて使うなら画面の大きなタブレットが見やすくなります。テレビ電話は親が操作しなくてもつながり、通話中は話した言葉が画面に字幕で出るので、耳が遠い親にも会話を読んでもらえます。

BabuuTalkのタブレット画面。家族からの伝言が「お知らせ」として大きく表示され、下に「わかった」ボタンがある
実家のタブレットの画面。退院後の通院日などの伝言も、この「お知らせ」で届きます

LINEから送った予定や伝言は掲示板に出るので、通院の日や、病院から言われたことを家族が書いて届けられます。入院や介護の手続き、医療の判断は、これまでどおり病院や地域包括支援センター、家族が行うものです。BabuuTalkはその合間の毎日に、親の様子を受け取るための道具です。料金はトップページから確認できます。

今日、窓口の番号を控える

今日できることは、次の2つです。

  1. 親がかかっている病院の、入退院支援や医療相談の窓口を調べる。 病院のウェブサイトか代表番号で確認して、電話番号と受付時間をスマホのメモに残します
  2. 親に、「もし入院したら、誰に連絡してほしい?」と聞く。 聞いた名前と電話番号を、家族で共有します

連絡係を決めて、窓口の番号を控えておくだけで、入院の連絡が来た日の動きがはっきり変わります。親が電話に出ないときの確認順は親が電話に出ない。心配なときに確認する順番にあります。

FAQよくある質問

親の入院で、遠方の家族が最初にすることは何ですか?
入院先の病院に電話して、家族の窓口になる担当者を確認することです。病院によって「入退院支援室」「患者支援センター」「医療相談室」などの名前で、家族からの相談を受けています。そこで、つながりやすい連絡先を伝え、必要な書類や物品を聞いてください。
身元保証人がいないと、入院できませんか?
厚生労働省は、病院や介護保険施設が身元保証人等がいないことのみを理由に入院や入所を拒むことのないよう措置を講ずることを求められています(消費者委員会の建議を受けたもの)。病院が保証人に期待している役割は、緊急の連絡先や物品の準備などです。窓口でこの役割を、家族や制度でどう果たすかを相談してください。
手術などの同意は、遠方の家族がしなければいけませんか?
医療行為への同意は本人の意思がいちばん大切で、身元保証人のような第三者に同意の権限はないと考えられる、と厚生労働省のガイドラインの概要に書かれています。本人が決められない場合の進め方は、病院の医療・ケアチームが家族と話し合いながら決めていきます。具体的な対応は病院ごとに異なるので、窓口で確認してください。
入院中の持ち物は、全部家族が用意するのですか?
病院によって異なります。入院案内に必要な物の一覧があることが多いので、まず病院に聞いてください。遠方で届けられない場合は、病院が案内する方法や、宅配で病院に送る方法などを相談できます。
退院したあとの暮らしは、いつ考え始めればいいですか?
入院して早い時期から、病院の相談窓口に伝えておくのがおすすめです。退院の見通しが立ってから動くと、家に戻るための準備が間に合わないことがあります。介護保険を使うかどうかは、地域包括支援センターにも相談できます。
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