自治体の高齢者見守り事業、実家にもある?調べ方
緊急通報装置、見守りネットワーク、キーホルダー登録など自治体の見守り事業の種類と、実家の市区町村で何があるかを地域包括支援センターで調べる手順を整理します。
目次
この記事の要点
- 自治体の見守り事業は、種類も条件も市区町村ごとに違う
- 調べる窓口は、実家の住所を担当する地域包括支援センター
- 届かないところ(毎日の声かけなど)は民間の仕組みで足す
「親が一人で暮らしているけれど、自治体に見守りの制度はあるのだろうか」と気になって検索しても、出てくるのは他の市区町村のページばかりで、実家の地域に何があるのかが分かりにくいものです。事業の名前も自治体ごとに違います。
この記事では、自治体の高齢者見守り事業にどんな種類があるのか、実家の市区町村で何が使えるのかをどう調べるのか、申請の前に決めておくことは何かを整理します。結論から言うと、窓口は実家の住所を担当する地域包括支援センターです。最初の電話はそこにかけます。
自治体の見守り事業とは
自治体の見守り事業は、市区町村が高齢者の安全と暮らしを支えるために行っている取り組みの総称です。国が1つの制度として決めているのではなく、各市区町村が地域の事情に合わせて設けています。そのため、同じ「見守り」でも、実家の自治体と自分の住む自治体で中身が違うことは珍しくありません。
厚生労働省「地域包括ケアシステム」のページでは、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けられるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供する体制が説明されています。見守り事業は、その生活支援の一部として自治体が用意しているものです。
代表的な4つの種類
自治体のページを読むと、見守り事業はおおよそ4つの型に分けられます。名前はそれぞれ違っても、仕組みを見ると、どれかに当てはまることが多いです。
緊急通報システム
機器を貸し出し、ボタンで通報する
- 誰が動く
- 受信センターと協力員
- 申請
- 地域包括支援センター経由
見守りネットワーク
地域の人や事業者がゆるやかに見守る
- 誰が動く
- 住民、民生委員、事業者
- 申請
- 自治体で異なる
キーホルダー登録
緊急連絡先などを事前に登録する
- 誰が使う
- 警察や医療機関
- 申請
- 地域包括支援センター
SOSネットワーク
行方不明になったときに情報を共有する
- 誰が動く
- 自治体、警察、協力機関
- 申請
- 自治体で異なる
自治体によって名前は違いますが、仕組みはこの4つのどれかに近いことが多いです
自治体の事例は、実際に公開されているページから確認できます。次の節で、それぞれの中身を見ていきます。
緊急通報システム
ボタンを押すと受信センターにつながる機器を貸し出す事業です。ペンダント型や、自宅に置く本体型、外出先でも使える携帯型を用意している自治体があります。川崎市「高齢者等緊急通報システム」では、携帯型と自宅設置型の2種類があり、利用には地域包括支援センターの調査が必要だとされています。
郡山市「緊急通報システム」では、緊急通報装置に加えて、無線ペンダント、火災センサー、安否確認センサーが一式で貸し出されます。このように、機器の組み合わせも自治体によって異なります。
見守りネットワークとキーホルダー
地域の住民、民生委員、地域包括支援センター、見守りに協力する事業者などが、日常の中で高齢者の変化に気づく仕組みです。三鷹市「見守りネットワーク事業」のページには、市が住民や民生委員、高齢者相談センター、民間事業者と協力して見守りの仕組みをつくっていると書かれています。
大田区「高齢者見守り・支え合いネットワーク」には、緊急連絡先や医療情報を区に登録し、登録番号の入ったキーホルダーを持ち歩く事業が載っています。救急や警察が身元を確認したいときに、登録された情報を照会できる仕組みです。
SOSネットワーク
認知症などで行方不明になる心配があるときに、自治体や警察、地域の協力機関が情報を共有する仕組みです。進め方は自治体ごとに違うので、窓口で確認してください。実際に行方が分からなくなったときの動き方は、認知症の親が行方不明に。家族がまずすることの順番にまとめています。
実家の事業を調べる順番
自治体のサイトで「高齢者 見守り」と検索しても、事業名が「あんしん」「ささえあい」など自治体独自の呼び方だと、見つけにくいことがあります。調べる順番を決めておくと、迷いません。
窓口は地域包括支援センター
実家の住所を担当する地域包括支援センターを探すところから始めます。市区町村のホームページで、実家の住所の地区を担当するセンターを調べられます。厚生労働省のページによると、地域包括支援センターは市町村が設置する中核機関で、高齢者の総合相談や権利擁護、介護予防の援助などを行っています。
見守りの事業は、申請の窓口もこのセンターを通すことが多いため、最初の電話はここにかけるのが近道です。川崎市や郡山市の緊急通報システムも、申請の窓口は地域包括支援センターになっています。
電話で聞くこと
電話では、次の3つを聞けば、必要なことが分かります。自治体の担当者が事業名をまとめて教えてくれることが多いので、細かく言い当てる必要はありません。
- 事業の名前 「ひとり暮らしの親向けの見守りの事業には、どんなものがありますか」と聞く
- 対象の条件 年齢、世帯、要介護認定の有無、所得など
- 申請の流れ 誰が申請できるか、訪問調査があるか、必要な書類は何か
電話をかける前に、親の年齢、ひとり暮らしかどうか、要介護認定を受けているかを手元に書いておくと、話が早く進みます。親の暮らしの全体像を整理したいときは、介護が始まる前に、家族で決めておくことも参考になります。
申請の前に決めておくこと
緊急通報システムは、申請の前に家族や近所で決めておくことがいくつかあります。後から慌てないために、先に確認しておきます。
協力員を誰にするか
自治体によっては、緊急時に駆けつけてくれる協力員を2人用意することが申請の条件になっています。福山市「緊急通報装置について」では、緊急・相談ボタンで受信センターにつながり、状況に応じて消防や協力員、緊急連絡先に連絡が行く仕組みで、協力員は実際に駆けつける役割です。郡山市でも、近隣で駆けつけてくれる方の登録が条件に挙げられています。
遠方に住む家族は、すぐには駆けつけられません。近所の人、親戚、知人に、協力員をお願いできるかを早めに相談します。お願いする相手は、実家から近いことが大切です。
訪問調査の日程
申請の前に、地域包括支援センターの職員やケアマネジャーが実家を訪ねて、状況を確認する自治体があります。郡山市の例では、訪問して調査書をつくってから、申請書と一緒に提出する流れです。親にとっては、知らない人が訪ねてくるのは緊張することなので、事前に家族から話しておくと安心です。
電話回線と電気代
機器の設置には、電話回線やコンセントが必要になることがあります。固定電話が無い実家では、無線型の装置になる自治体もあります。月々の利用者負担や、通信費・電気代の扱いも自治体で違うため、申請の窓口で確認してください。
自治体の事業と民間、どう組み合わせる?
自治体の事業は、困ったときの通報や、地域の目による見守りが中心です。一方で、「親が今日も元気に過ごしているか」を家族が毎日確認するような使い方は、事業の目的とは少し違います。役割が違うので、組み合わせて考えるのが自然です。
| 役割 | 自治体の事業 | 毎日の声かけ |
|---|---|---|
| 緊急時の通報 | 主な役割 | 別の仕組み |
| 地域の見守り | 主な役割 | 別の仕組み |
| 毎日の安否の確認 | 事業による | 主な役割 |
緊急通報装置と民間の見守りの違いは、緊急通報装置と見守りサービス、何が違う?で詳しく比べています。どこから手をつけるか迷うときは、親の見守り、何から始める?機器を選ぶ前にやることを読むと、順番が整理できます。
BabuuTalkで足せること
BabuuTalkは、毎日の声かけに親が応えたかどうかが家族に届く仕組みです。家族がLINEから送った一言は、実家のタブレットに大きな「お知らせ」として表示されます。親は「わかった」を押すだけで応答でき、その結果が家族のLINEに通知されます。
緊急時の備えは自治体の事業で整え、毎日の声かけはBabuuTalkで続ける、という組み合わせ方があります。Android端末(タブレットや使っていないスマホ)があればアプリは無料で、続けて使うならタブレットが見やすいです。
今日、地域包括支援センターに電話する
最後に、今日できることを2つ挙げます。
- 実家の住所を担当する地域包括支援センターを調べて、電話する。 市区町村のホームページで、実家の住所の担当センターが分かります。「ひとり暮らしの親向けの見守りの事業を教えてください」と聞けば十分です
- 親に、見守りの事業を調べていることを伝える。 申請や訪問調査は、本人の暮らしに関わることです。「何かあったときのために調べている」と先に話しておくと、受け入れてもらいやすくなります
自治体の事業は、申請してから使えるようになるまでに日数がかかることがあります。親の様子が気になりはじめたときが、調べ始めるタイミングです。