一人暮らしの親の緊急連絡先、誰に何を揃える?帰省で作る連絡先カード
一人暮らしの親の緊急連絡先を、家族・近所・かかりつけ医・地域包括支援センターでどう揃えるか。連絡先カードの中身、冷蔵庫の救急キット、帰省中に親と作る手順を自治体の案内で整理します。
目次
この記事の要点
- 連絡先は4か所に分けて揃える
- 紙1枚のカードと冷蔵庫のキットを使い分ける
- 帰省の1時間で、親と一緒に書いて貼る
親が一人で倒れていたとき、最初に連絡が行く先はどこでしょうか。救急隊が家に入ったとき、親のかかりつけ医や飲んでいる薬を、誰が教えられるでしょうか。遠くに住む家族は、そこまで考えたことがない方がほとんどだと思います。
この記事では、一人暮らしの親の緊急連絡先を、誰のどんな情報で揃えるか、そして帰省中の1時間で親と一緒に形にする手順を整理します。結論から言うと、連絡先は「家族・近所・医療・地域の窓口」の4か所に分け、紙1枚のカードとして家の中に置くのが、いちばん続けやすい形です。
連絡先が要る場面
緊急連絡先が役に立つのは、親が自分で電話をかけられない場面です。倒れて動けない、意識がはっきりしない、救急車で運ばれる。そのとき本人の代わりに、家の中にある情報が頼りになります。
たとえば、近所の人が異変に気づいて救急車を呼んだとします。救急隊は本人の状態を見て搬送先を決めますが、持病や服薬の内容、家族の連絡先は、本人が話せなければ分かりません。遠方の子に連絡がつくまでに時間がかかれば、その分、状況の把握も遅れます。
もう一つは、親が元気なうちの「ちょっとした困りごと」です。鍵を失くした、体調が悪くて病院へ行きたい、台風が近づいていて不安。こうしたときに、誰に電話すればいいかがすぐ分かるだけで、親の不安はかなり軽くなります。
揃える4つの宛先
連絡先は、1か所に絞るより、役割の違う4か所に分けて持つほうが、どれかがつながらないときにも動けます。
家族
子ども、きょうだい、近くの親族
- 役割
- 最終的に判断する人
- 備える
- 昼夜つながる番号を2つ
近所の人
親が信頼している隣人や友人
- 役割
- 最初に様子を見に行く
- 備える
- 本人の了承と電話番号
かかりつけ医
普段通っている病院や診療所
- 役割
- 持病や薬を伝える先
- 備える
- 病院名と診察券の写し
地域包括支援センター
市区町村が設ける高齢者の相談窓口
- 役割
- 暮らし全般の相談先
- 備える
- 担当の窓口と電話番号
4つの宛先は、役割が違います。どれか1つに寄せないのがコツです
地域包括支援センターは、高齢者の総合相談や権利擁護、介護予防の援助などを行う窓口です。市町村が設置していて、厚生労働省「地域包括支援センターについて」によると、令和7年4月末時点で全国に5,487か所あり、支所(ブランチ)を含めると7,374か所です。出典:厚生労働省(2025年)。
実家の担当のセンターは、市区町村のホームページか、高齢福祉の窓口で分かります。名前と電話番号を連絡先カードに入れておくと、親の様子が気になったときの最初の電話先になります。
家族の番号は2つ以上
家族の欄には、昼でも夜でもつながりそうな番号を2つ以上書きます。仕事中は出られない子の番号だけでは、つながらない時間帯ができます。きょうだいや、近くに住む親族がいれば、そちらも書きます。
近所の人は了承を得てから
近所の人の連絡先は、書く前に、その人にも「何かあったときに連絡しても大丈夫か」を聞いておきます。親が頼りにしている人でも、突然連絡が来れば戸惑います。民生委員への頼み方は、民生委員に親の見守りを頼むには?にまとめています。
連絡先カードの中身
連絡先は、バラバラのメモではなく、1枚の紙にまとめて、置き場所を決めると使われやすくなります。書く項目は、次の5つが基本です。
薬は「写し」で残す
飲んでいる薬は、薬の名前を書き写すのではなく、お薬手帳や薬剤情報提供書の写しを添えるほうが正確です。自治体が配布している救急医療情報キットでも、薬が分かるものは入れる品の定番になっています。
現金や通帳は入れない
カードやキットに、現金や通帳、印鑑は入れません。調布市の案内でも、現金、通帳、印鑑などの貴重品は入れないよう呼びかけています。連絡先と医療の情報だけにとどめます。
冷蔵庫に置く救急キット
連絡先カードを、救急隊にも見つけてもらえる形にした仕組みが、自治体の救急医療情報キットです。筒状の容器に医療情報や連絡先を入れて、冷蔵庫に保管します。
調布市「救急医療情報キット」の案内では、在宅で暮らす65歳以上の方が対象です。記入した医療情報の用紙、本人の写真、薬が分かるもの、診察券の写し、保険証の写しなどを容器に入れて、冷蔵庫の扉に収めます。玄関扉の内側と冷蔵庫の扉に、見つけてもらうためのステッカーを貼ります。
ステッカーを玄関の外側ではなく内側に貼る理由も、案内に書かれています。外側に貼ると、住んでいる人が65歳以上だと外から分かり、犯罪を誘発するおそれがあるためです。出典:調布市。
使われるとは限らない
救急医療情報キットは、救急隊が必要と判断したときに活用するもので、いつでも使われるとは限りません。江東区「高齢者あんしん情報キット配布事業」の案内にも、活用を約束するものではないという注意書きがあります。キットがあるから安心と考えず、家族の連絡先を別に控えておく役割は残ります。
外出先では役に立たない
冷蔵庫に置くキットは、外出先で倒れたときには見てもらえません。多摩市「救急医療情報キット」は、財布などに入れて持ち歩く「緊急医療情報カード」を自作しておくよう案内しています。連絡先カードを小さく写して、財布や杖のケースに入れておく方法です。
帰省中に親と作る手順
連絡先カードは、家族が先に作って渡すより、親と一緒に書くほうが続きます。自分の連絡先の置き場所を、親自身が分かっていることが大事だからです。帰省の滞在中、1時間ほどでできる手順を挙げます。
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自治体のキットがあるか確認する
帰省前に、実家の市区町村のホームページか高齢福祉の窓口で、救急医療情報キットの配布があるかを調べます。電話で聞くなら、親の住所と年齢を伝えます。
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連絡先を親と一緒に書く
家族、近所の人、かかりつけ医、地域包括支援センターの順に、親に聞きながら書き込みます。分からない欄は空けておき、あとで調べます。
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薬と保険証の写しを取る
お薬手帳や薬剤情報提供書、診察券、保険証のコピーを取り、カードやキットに添えます。コピーを取れば、本物を持ち出さずに済みます。
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置き場所を決めて貼る
キットや紙の置き場所は冷蔵庫のドアポケットが基本です。自治体のステッカーがあれば、玄関の内側と冷蔵庫に貼り、親にどこにあるかを声に出して確認してもらいます。
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家族側にも控えを持つ
書いたカードの写真を撮って、きょうだいや近くの親族と共有します。誰かが動くときに、同じ情報を見られるようにするためです。
親が「縁起でもない」と話を嫌がることもあります。その場合は、「何かあったときに、周りの人が困らないように」と、親のためではなく周りの人のための備えとして話すと、受け入れてもらいやすくなります。年末の帰省で何を確認するかは、年末に帰省したら、実家の何を見る?にも書いています。
書いたあとの見直し
カードは、書いて終わりではありません。連絡先は変わります。近所の人が引っ越した、かかりつけ医を変えた、薬が増えた。そのたびに、紙の内容が古くなっていきます。
同じ多摩市の案内では、病状やお薬が変わったとき、誕生日などの節目に内容を見直して書き換えるとされています。出典:多摩市。家族の側では、年末と夏の帰省のたびに、カードを開いて内容を確認する習慣にしておくと、見直しの時期を忘れません。
見直しのときは、書き換えるだけでなく、「これを見て動く人」に変化を伝えることも大切です。近所の人の番号を差し替えたら、新しく載せた方にも一言伝えます。
家の鍵をどこに預けるかは、連絡先とセットで考えておきたい項目です。実家の合鍵、誰が持つ?親と決めたい預け方に整理しています。
離れていても気づく
連絡先を揃えても、「今日は様子が違う」と気づく仕組みがなければ、使う場面に気づけません。毎日の連絡を電話一本に頼ると、出なかった理由が分からないまま時間が過ぎます。親に電話が通じないときの確認の順番は、親が電話に出ない。心配なときに確認する順番で整理しています。
BabuuTalkは、実家に置いたタブレットに毎日の声かけが届き、親が応えたかどうかが家族のLINEに通知される仕組みです。応答がない日は、近所の人や預け先の家族に連絡して様子を見てもらう、という動きにつなげられます。連絡先カードで決めた「誰に頼むか」を、実際に動かすきっかけになります。
また、家族がLINEで書いた伝言は、タブレットの掲示板に大きく表示されます。「連絡先のカードを新しくしたよ、冷蔵庫に入れておいたからね」といった一言を送っておけば、親は画面を見るたびに置き場所を思い出せます。
Android端末(タブレットや使っていないスマホ)があればアプリは無料で、続けて使うならタブレットが見やすいです。詳しくはトップページをご覧ください。
今週、親に聞くこと
最後に、今週できることを3つ挙げます。
- 親に「もしものときに、最初に連絡してほしい人は誰?」と電話で聞く。 家族以外にも、近所の人や友人の名前が出てくることがあります
- 実家の市区町村のホームページで、「救急医療情報キット」の配布を調べる。 見つからなければ、高齢福祉の窓口か地域包括支援センターに電話で聞きます
- 次の帰省の日に、カードを書く1時間を予定に入れる。 紙とペン、コピーを取るための診察券と保険証、お薬手帳を、当日のバッグに入れておきます
全部を一度に整えなくても構いません。まずは連絡先を1枚の紙に書いて、冷蔵庫に貼るところから始めてください。