一人暮らしの親の緊急連絡先、誰に何を揃える?帰省で作る連絡先カード

一人暮らしの親の緊急連絡先を、家族・近所・かかりつけ医・地域包括支援センターでどう揃えるか。連絡先カードの中身、冷蔵庫の救急キット、帰省中に親と作る手順を自治体の案内で整理します。

公開 読了 約7分 執筆 株式会社BabuuTalk

居間の座卓で、高齢の母親と娘が並んで1枚の紙に書き込んでいる様子
目次

この記事の要点

  • 連絡先は4か所に分けて揃える
  • 紙1枚のカードと冷蔵庫のキットを使い分ける
  • 帰省の1時間で、親と一緒に書いて貼る

親が一人で倒れていたとき、最初に連絡が行く先はどこでしょうか。救急隊が家に入ったとき、親のかかりつけ医や飲んでいる薬を、誰が教えられるでしょうか。遠くに住む家族は、そこまで考えたことがない方がほとんどだと思います。

この記事では、一人暮らしの親の緊急連絡先を、誰のどんな情報で揃えるか、そして帰省中の1時間で親と一緒に形にする手順を整理します。結論から言うと、連絡先は「家族・近所・医療・地域の窓口」の4か所に分け、紙1枚のカードとして家の中に置くのが、いちばん続けやすい形です。

実家の台所のテーブルで、娘が紙とペンを見せながら高齢の母親に話しかけている。母親は穏やかにうなずいている
帰省した昼下がり。「もしものときの連絡先を一緒に書いてみない?」と切り出します

連絡先が要る場面

緊急連絡先が役に立つのは、親が自分で電話をかけられない場面です。倒れて動けない、意識がはっきりしない、救急車で運ばれる。そのとき本人の代わりに、家の中にある情報が頼りになります。

たとえば、近所の人が異変に気づいて救急車を呼んだとします。救急隊は本人の状態を見て搬送先を決めますが、持病や服薬の内容、家族の連絡先は、本人が話せなければ分かりません。遠方の子に連絡がつくまでに時間がかかれば、その分、状況の把握も遅れます。

もう一つは、親が元気なうちの「ちょっとした困りごと」です。鍵を失くした、体調が悪くて病院へ行きたい、台風が近づいていて不安。こうしたときに、誰に電話すればいいかがすぐ分かるだけで、親の不安はかなり軽くなります。

揃える4つの宛先

連絡先は、1か所に絞るより、役割の違う4か所に分けて持つほうが、どれかがつながらないときにも動けます。

家族

子ども、きょうだい、近くの親族

役割
最終的に判断する人
備える
昼夜つながる番号を2つ

近所の人

親が信頼している隣人や友人

役割
最初に様子を見に行く
備える
本人の了承と電話番号

かかりつけ医

普段通っている病院や診療所

役割
持病や薬を伝える先
備える
病院名と診察券の写し

地域包括支援センター

市区町村が設ける高齢者の相談窓口

役割
暮らし全般の相談先
備える
担当の窓口と電話番号

4つの宛先は、役割が違います。どれか1つに寄せないのがコツです

地域包括支援センターは、高齢者の総合相談や権利擁護、介護予防の援助などを行う窓口です。市町村が設置していて、厚生労働省「地域包括支援センターについて」によると、令和7年4月末時点で全国に5,487か所あり、支所(ブランチ)を含めると7,374か所です。出典:厚生労働省(2025年)。

実家の担当のセンターは、市区町村のホームページか、高齢福祉の窓口で分かります。名前と電話番号を連絡先カードに入れておくと、親の様子が気になったときの最初の電話先になります。

家族の番号は2つ以上

家族の欄には、昼でも夜でもつながりそうな番号を2つ以上書きます。仕事中は出られない子の番号だけでは、つながらない時間帯ができます。きょうだいや、近くに住む親族がいれば、そちらも書きます。

近所の人は了承を得てから

近所の人の連絡先は、書く前に、その人にも「何かあったときに連絡しても大丈夫か」を聞いておきます。親が頼りにしている人でも、突然連絡が来れば戸惑います。民生委員への頼み方は、民生委員に親の見守りを頼むには?にまとめています。

連絡先カードの中身

連絡先は、バラバラのメモではなく、1枚の紙にまとめて、置き場所を決めると使われやすくなります。書く項目は、次の5つが基本です。

「連絡先カードに書くこと」という見出しの下に、家族の電話番号、近所の人の連絡先、かかりつけ医、飲んでいる薬、地域包括支援センターの5つのチェック項目が並ぶ図
連絡先カードに書く5つ。住所と氏名、生年月日は、カードの上に書き添えます

薬は「写し」で残す

飲んでいる薬は、薬の名前を書き写すのではなく、お薬手帳や薬剤情報提供書の写しを添えるほうが正確です。自治体が配布している救急医療情報キットでも、薬が分かるものは入れる品の定番になっています。

現金や通帳は入れない

カードやキットに、現金や通帳、印鑑は入れません。調布市の案内でも、現金、通帳、印鑑などの貴重品は入れないよう呼びかけています。連絡先と医療の情報だけにとどめます。

冷蔵庫に置く救急キット

連絡先カードを、救急隊にも見つけてもらえる形にした仕組みが、自治体の救急医療情報キットです。筒状の容器に医療情報や連絡先を入れて、冷蔵庫に保管します。

調布市「救急医療情報キット」の案内では、在宅で暮らす65歳以上の方が対象です。記入した医療情報の用紙、本人の写真、薬が分かるもの、診察券の写し、保険証の写しなどを容器に入れて、冷蔵庫の扉に収めます。玄関扉の内側と冷蔵庫の扉に、見つけてもらうためのステッカーを貼ります。

ステッカーを玄関の外側ではなく内側に貼る理由も、案内に書かれています。外側に貼ると、住んでいる人が65歳以上だと外から分かり、犯罪を誘発するおそれがあるためです。出典:調布市。

実家の台所で、高齢の母親が冷蔵庫のドアポケットに細長い筒状の容器を入れている。娘が隣で見守っている
容器は冷蔵庫のドアポケットへ。親と一緒に入れると、置き場所を親自身が覚えられます

使われるとは限らない

救急医療情報キットは、救急隊が必要と判断したときに活用するもので、いつでも使われるとは限りません。江東区「高齢者あんしん情報キット配布事業」の案内にも、活用を約束するものではないという注意書きがあります。キットがあるから安心と考えず、家族の連絡先を別に控えておく役割は残ります。

外出先では役に立たない

冷蔵庫に置くキットは、外出先で倒れたときには見てもらえません。多摩市「救急医療情報キット」は、財布などに入れて持ち歩く「緊急医療情報カード」を自作しておくよう案内しています。連絡先カードを小さく写して、財布や杖のケースに入れておく方法です。

帰省中に親と作る手順

連絡先カードは、家族が先に作って渡すより、親と一緒に書くほうが続きます。自分の連絡先の置き場所を、親自身が分かっていることが大事だからです。帰省の滞在中、1時間ほどでできる手順を挙げます。

  1. 自治体のキットがあるか確認する

    帰省前に、実家の市区町村のホームページか高齢福祉の窓口で、救急医療情報キットの配布があるかを調べます。電話で聞くなら、親の住所と年齢を伝えます。

  2. 連絡先を親と一緒に書く

    家族、近所の人、かかりつけ医、地域包括支援センターの順に、親に聞きながら書き込みます。分からない欄は空けておき、あとで調べます。

  3. 薬と保険証の写しを取る

    お薬手帳や薬剤情報提供書、診察券、保険証のコピーを取り、カードやキットに添えます。コピーを取れば、本物を持ち出さずに済みます。

  4. 置き場所を決めて貼る

    キットや紙の置き場所は冷蔵庫のドアポケットが基本です。自治体のステッカーがあれば、玄関の内側と冷蔵庫に貼り、親にどこにあるかを声に出して確認してもらいます。

  5. 家族側にも控えを持つ

    書いたカードの写真を撮って、きょうだいや近くの親族と共有します。誰かが動くときに、同じ情報を見られるようにするためです。

親が「縁起でもない」と話を嫌がることもあります。その場合は、「何かあったときに、周りの人が困らないように」と、親のためではなく周りの人のための備えとして話すと、受け入れてもらいやすくなります。年末の帰省で何を確認するかは、年末に帰省したら、実家の何を見る?にも書いています。

居間で、娘がスマホを手に、手元のメモ帳を見ている。ソファでは両親が穏やかに見守っている
カードを書いたら、家族側にも控えを。帰省中のうちに、スマホで写真に撮っておきます

書いたあとの見直し

カードは、書いて終わりではありません。連絡先は変わります。近所の人が引っ越した、かかりつけ医を変えた、薬が増えた。そのたびに、紙の内容が古くなっていきます。

同じ多摩市の案内では、病状やお薬が変わったとき、誕生日などの節目に内容を見直して書き換えるとされています。出典:多摩市。家族の側では、年末と夏の帰省のたびに、カードを開いて内容を確認する習慣にしておくと、見直しの時期を忘れません。

見直しのときは、書き換えるだけでなく、「これを見て動く人」に変化を伝えることも大切です。近所の人の番号を差し替えたら、新しく載せた方にも一言伝えます。

家の鍵をどこに預けるかは、連絡先とセットで考えておきたい項目です。実家の合鍵、誰が持つ?親と決めたい預け方に整理しています。

離れていても気づく

連絡先を揃えても、「今日は様子が違う」と気づく仕組みがなければ、使う場面に気づけません。毎日の連絡を電話一本に頼ると、出なかった理由が分からないまま時間が過ぎます。親に電話が通じないときの確認の順番は、親が電話に出ない。心配なときに確認する順番で整理しています。

BabuuTalkは、実家に置いたタブレットに毎日の声かけが届き、親が応えたかどうかが家族のLINEに通知される仕組みです。応答がない日は、近所の人や預け先の家族に連絡して様子を見てもらう、という動きにつなげられます。連絡先カードで決めた「誰に頼むか」を、実際に動かすきっかけになります。

また、家族がLINEで書いた伝言は、タブレットの掲示板に大きく表示されます。「連絡先のカードを新しくしたよ、冷蔵庫に入れておいたからね」といった一言を送っておけば、親は画面を見るたびに置き場所を思い出せます。

BabuuTalkのタブレット。「お知らせ」として家族からの伝言が大きく表示され、下に「わかった」のボタンがある
実家のタブレットの画面。家族が書いた伝言が大きく表示されます

Android端末(タブレットや使っていないスマホ)があればアプリは無料で、続けて使うならタブレットが見やすいです。詳しくはトップページをご覧ください。

今週、親に聞くこと

最後に、今週できることを3つ挙げます。

  1. 親に「もしものときに、最初に連絡してほしい人は誰?」と電話で聞く。 家族以外にも、近所の人や友人の名前が出てくることがあります
  2. 実家の市区町村のホームページで、「救急医療情報キット」の配布を調べる。 見つからなければ、高齢福祉の窓口か地域包括支援センターに電話で聞きます
  3. 次の帰省の日に、カードを書く1時間を予定に入れる。 紙とペン、コピーを取るための診察券と保険証、お薬手帳を、当日のバッグに入れておきます

全部を一度に整えなくても構いません。まずは連絡先を1枚の紙に書いて、冷蔵庫に貼るところから始めてください。

FAQよくある質問

親の連絡先は、スマホに入れておけば十分ですか?
親が倒れたときに家へ駆けつけるのは、家族とは限りません。近所の人や救急隊が見る場所に、紙でも残しておくと伝わりやすくなります。スマホの連絡先は家族側の控えとして持ち、親の家には紙のカードを置く、という二重の持ち方が現実的です。
救急医療情報キットは誰でももらえますか?
対象や配布場所は自治体ごとに違います。調布市は在宅の65歳以上、江東区は区内在住の65歳以上、多摩市は概ね65歳以上の方がいる世帯が対象と案内しています。実家の市区町村の高齢福祉の窓口か、地域包括支援センターに聞いてください。
緊急連絡先に、子ども以外の人も書いてよいですか?
書いてかまいません。近くに住むきょうだいや親族、親が信頼している近所の人も有力な連絡先です。ただし、書く前に本人の了承を得ておくことが前提です。親の側でも、誰を載せたいかを自分で選んでもらうと続きます。
親が「個人情報を貼り出すようで嫌だ」と言います。どうすれば?
玄関の外側には何も貼らず、中身は冷蔵庫の中や家の中にしまう方法があります。調布市の案内でも、玄関のシールは外から65歳以上と分かって犯罪を誘発するおそれがあるため、ドアの内側に貼るとされています。見せる範囲を親と決めてから始めます。
連絡先が変わったとき、いつ見直せばいいですか?
多摩市は、病状や薬が変わったときや、誕生日などの節目に書き換えるよう案内しています。家族の帰省のタイミングに合わせて、年に1〜2回、カードを一緒に見直す形にすると忘れません。
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