実家の合鍵、誰が持つ?親と決めたい預け方
親の家の合鍵を誰に預けるか。家族・近所の人・自治体の仕組みの違い、渡す前に親と決める3つのこと、鍵がなくて入れないときの動き方を、国民生活センターと自治体の案内で整理します。
目次
この記事の要点
- 合鍵は緊急時に入るためのもの
- 渡す前に、誰が・いつ・どう伝えるかを決める
- 入れないときは業者より先に、預け先に連絡
親に電話をしても出ない。実家まで行ったのに、玄関のドアが閉まっていて入れない。そんな場面を、一度でも想像したことはありませんか。合鍵を誰かに預けておけば防げる、と思う一方で、「親が嫌がるかもしれない」「誰に渡せばいいのか分からない」と、決められないままの方が多いはずです。
この記事では、合鍵の預け先にどんな選択肢があるか、渡す前に親と決めておくこと、鍵がなくて入れないときの動き方を整理します。結論から言うと、大事なのは「誰が持つか」よりも、「いつ使うか」を親と決めておくことです。
合鍵は緊急時の入口
合鍵を渡すいちばんの目的は、親の身に何かあったときに、早く家に入れるようにすることです。親が玄関まで出てこられない状態でも、鍵があれば中に入って様子を確かめられます。
ただ、鍵があっても入れるとは限りません。港区の高齢者救急通報システムの案内では、合鍵を預けていても、ドアチェーンがかかっていると、消防や警察がチェーンを切断して入室することがあると説明されています。鍵の預け先を決めるだけでなく、「入れない場合はどうするか」まで考えておく理由はここにあります。
また、鍵を渡すことは、親の暮らしの領域に家族が入れるようにすることでもあります。親が「見張られる」と感じる入口にもなるので、渡す前の話し合いが欠かせません。
預け先の選択肢
預け先は、大きく3つに分けて考えられます。どれか1つに決めるより、近さと役割の違いを見て組み合わせるほうが現実的です。
家族や親族
子どもやきょうだい、近くに住む親族
- 近さ
- 遠方だと着くまで時間がかかる
- 向く場面
- 最終的に判断する人が持つ
- 先に決める
- 使ってよい場面と連絡のしかた
近所の人
日頃から親と付き合いのある信頼できる人
- 近さ
- すぐ駆けつけやすい
- 向く場面
- 最初に様子を見に行ってもらう
- 先に決める
- 頼む範囲と連絡先
自治体の仕組み
緊急通報システムなどに合鍵を預ける
- 近さ
- 自治体の運用による
- 向く場面
- 身近に預けられる人がいない
- 先に決める
- 対象条件と申し込みの窓口
預け先ごとに、強みと決めておくことが違います
賃貸住宅の場合は、鍵まわりの決まりを管理会社や大家に確認しておくと安心です。国民生活センターも、賃貸住宅では鍵を紛失したときの対応を大家や管理会社に確認しておくよう案内しています。
渡す前に決める3つ
鍵を渡すときに、いちばん揉めやすいのは「使ってよい場面」の食い違いです。渡した側は緊急時のつもりでも、受け取った側は「持っているのだから、ときどき様子を見に入ってもいい」と考えることがあります。
誰が持つか
持つ人は、親が「この人なら」と思える人を、親本人が選ぶのがいちばん続きます。家族が一方的に決めると、鍵を渡すことそのものが拒まれやすくなります。数は多くしすぎず、1〜2人に絞ります。
いつ使うか
「電話に何度かけても出ない」「連絡が丸一日つかない」など、使ってよい場面を言葉にして決めておきます。たとえば、遠方の娘が「朝から3回かけても出ないとき」だけ近所の人に連絡し、それでも確認できなければ鍵を使う、というように順番まで決めておくと迷いません。
使ったら伝える
鍵を使ったら、その日のうちに親に連絡します。緊急だったとしても、あとから「実は入ったの」と知らされると、親は嫌な気持ちになります。「使った日と理由を、その日のうちに伝える」を約束にしておくと、鍵を渡すこと自体への抵抗も小さくなります。
自治体の仕組みで預ける
身近に預けられる人がいない、遠方で近所づきあいも少ない。そんなときは、自治体の緊急通報システムなどに合鍵を預ける方法があります。
豊中市「緊急通報システム」のご案内では、利用に近くに住む協力員(1〜2人)の登録が必要で、協力員が合鍵を持って駆けつけて本人の状態を確認するとされています。協力員が見つからないときは、市の委託業者の鍵預かりやキーボックス情報の提供でも対応できます。
一方、港区「高齢者救急通報システムについて」では、救急時に警備員が救急隊や警察と一緒にすばやく入室できるよう、委託事業者に合鍵を預ける運用になっています。預かった鍵は専用ケースに収納して厳重にシステム管理されていると案内されています。
このように、鍵を誰が預かって、どんなときに使うのかは自治体ごとに違います。対象になる年齢や世帯の条件もあるので、実家の市区町村の高齢福祉の窓口か、地域包括支援センターに聞くのが確実です。自治体の見守り事業の調べ方は、自治体の高齢者見守り事業、実家にもある?調べ方に、機器との違いは緊急通報装置と見守りサービス、何が違う?にまとめています。
入れないときの動き方
親に電話が通じず、実家の玄関まで来たのに鍵がない。そんなときの順番を、先に決めておきます。
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預け先の人に連絡する
近所の人、近くに住む親族、協力員など、鍵を預けてある人に連絡して、様子を見に行ってもらいます。
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自治体や地域の窓口に相談する
地域包括支援センターなどに、連絡がつかない状況を伝えて相談します。電話に出ないときの確認の順番は、親が電話に出ない。心配なときに確認する順番で整理しています。
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命に関わりそうなら、119番や110番
中で倒れているおそれがあるときは、迷わず119番や110番に連絡します。港区の案内にもあるとおり、入室の判断は消防や警察が行います。
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鍵業者に頼むのは最後
ほかに手が無く、業者を呼ぶときは、次の「業者に頼む前の注意」を確認してから依頼します。
業者に頼む前の注意
慌てているときほど、検索して最初に出てきた鍵の業者に電話をしてしまいがちです。国民生活センターは、出張解錠サービスの料金トラブルについて注意を呼びかけています。
国民生活センター「出張解錠サービスの料金トラブルに注意」(2024年11月公表)では、「見積もりは無料」「解錠で○千円〜」と表示していた業者に頼んだところ、作業前に料金を知らされず、作業後に高額な請求を受けた事例が紹介されています。出典:国民生活センター(2024年)。
同じ資料は、広告の安い表示を鵜呑みにせず、出張料やキャンセル料を事前に確認すること、納得できないときはその場で支払わないことを勧めています。困ったときは、消費者ホットライン「188」で、最寄りの消費生活センターを案内してもらえます。
親の家の鍵の種類やメーカーは、元気なうちに控えておくと、いざというときに業者を選びやすくなります。帰省したときに、鍵のメーカー名をメモしておく程度で十分です。
鍵を預けたあとの見直し
鍵は、預けたら終わりではありません。預け先の人が引っ越した、体調を崩した、親との関係が変わった、といった変化があれば、預け先も見直します。
- 鍵の本数と預け先を書いておく 誰に何本預けたかを、親と家族が同じメモで持つ
- 帰省のたびに確認する 預け先の人が変わっていないか、連絡先が古くなっていないか
- 自治体の仕組みは変更の届け出を確認する 協力員や連絡先が変わったときの手続きは、自治体ごとに決まっている
親の近所への頼み方は、民生委員に親の見守りを頼むには?にもあります。鍵の預け先は、民生委員とは別に、信頼できる人と相談して決めるのが安全です。
鍵を使う前に気づく
鍵を預けても、使う場面はなるべく少なくしたいものです。そのために、電話の前の段階で「今日は様子が違う」と気づける仕組みを、あわせて持っておくと安心です。
BabuuTalkは、毎日の声かけに親が応えたかどうかが、家族のLINEに通知される仕組みです。応答の無い日があれば、鍵を使う前に、近所の人や預け先の家族に確認を頼めます。
Android端末(タブレットや使っていないスマホ)があればアプリは無料で、続けて使うならタブレットが見やすいです。詳しくはトップページをご覧ください。
今週、親に聞くこと
最後に、今週できることを2つ挙げます。
- 親に「もしものとき、家に入れる人は誰がいる?」と聞く。 鍵を渡す話の前に、親の頭の中にある預け先を知ります
- 実家の市区町村の高齢福祉の窓口か地域包括支援センターに、鍵の預け先の仕組みがあるか電話で聞く。 住所と親の年齢を伝えます
親が鍵を渡すことに前向きでなければ、今回は見送って構いません。連絡先を近所の人に伝えるだけでも、備えの一歩になります。